どりぃむ☆IN☆ドリーム

御剣ひかる

これがわたしの初陣だ!

今どき夢オチなんて流行らないんだからっ

 渦巻くどす黒い空気を掻き分けるように、わたしは進む。

 ずっと探してきたお母さんが、すぐ近くにいる。やっと見つけたんだ。

 お母さんを助けて、この悪夢から生還する。


 飛びかかってくる夢魔達を、魔剣でなぎ払って、ひたすら前へ。


 目指す先には、半透明の球体が光っていて、その中に、いる!

 いなくなっちゃった時のままの、お母さんが。


「今助けるよっ」


 お母さんは驚いた顔でわたしを見て、何かを言おうと口を開いた。

 わたしは、にこっと笑って、左手の親指をぐっと立てる。


「力を解き放て――!」


 手にした魔剣を、お母さんを捕まえている球体に叩きつけた。

 瞬間、目の前にぱっと眩しい光が飛び散って。




「お母さん!」


 飛び起きた。

 朝の光がまぶしく差し込むカーテンの隙間に目をやって、辺りをぐるっと見て、ここが自分の部屋だって理解する。


 ――夢だった!


 ちょっと、そりゃないんじゃない? 今どき夢オチなんて流行らないんだからっ。


 外でのんきに鳴いてるスズメの声も、なんだか恨めしい。


 ……多分、あんな夢を見たのは、今夜がわたしの「狩人」としての「初陣」だから。


 お母さんがいなくなっちゃったのも、夢の中にいるのも、でもどこにいるのかまでは判らないのも、ホントの話。

 だからわたしは狩人になった。夢魔と戦いながら、お母さんを探すために。


 いつか今の夢みたいに、お母さんを探しだして、一緒に帰ってくるよ。


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