異世界の種族が日本への移住に興味を持ったようです

プロジェクト概要

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　近年、異世界で活躍する日本人が増えていることは、将来的な国力向上において望ましい傾向にあることは間違いない。

　帰界した一部の異世界経験者は、体得した特殊な技能と経験を活かして今までにないサービスの提供を始めるケースも増えてきており、新規技術の乏しかった近年の停滞した産業に新風を吹き込み、活性化される期待がある。

　だが、多くの異世界経験者は帰界することなく異世界での生活を続けており、既に流出している人口は日本国内の1％に達しようかとする割合となっている。

　そうでなくても若年層の人口は減り続けており、出生率の低下は好転をみせないままであある。

　このまま現在の傾向が続くようだと産業の活性化を待たずして労働力が枯渇し、資金の循環が停滞して財政の破綻に至ると予想される。

　一方で、異世界に赴いた日本人は多種多様な種族へと不思議なほど受け入れられる傾向にあり、繁殖の術を同じくする人間形態の種族とは子供を成すケースも多く報告されている。

　そこに目を付け、日本人との交友実績が豊富な異世界の種族を逆にこちらの世界に招き入れ、交友を超えた関係を築いていくことが当プロジェクトの概要となる。

　ただし、異世界の種族をこちらの世界に流入することにより、どれほどの影響が発生するのか未知数な部分も多い。科学では証明できない不可思議な力により攻撃され、侵略を許す危険があることを無視してはならない。

　現実問題として、この世界の人類に限定しても、異なる民族間における紛争が各地で発生し、移民に関する問題が後を絶たない。成果を急ぐあまり、大多数の異種族をわずかな期間で受け入れるとしたら大きな危険を伴うと予想される。

　よって当プロジェクトでは対象を制限し、異種族との相互理解をじっくりと深められるよう時間を費やしながら進めることを前提とする。

　招き入れる対象とするのは異文化交流に興味を持つ者とし、この世界への順応力を図るのにも好都合となるだろう子供とその親をターゲットに、学校への留学生を募集する方法を主として採用する予定である。

　異世界での生活しか知らない者たちが不安なく日本で生活を送れるよう政府が全面的にサポートすることで、異世界の住人たちに日本へ住む魅力を知らしめることで、移住希望者を増やしていくことが狙いとなる。

　政府ではこのプロジェクトを実施するにあたり、異世界からの帰還者を中心として専門のチームを編成し、直轄の組織として運営することとする。

　失敗すれば国の存亡にも関わる重要なプロジェクトとなる。日本人の底力を信じ、総力を挙げて取り組んでいきたい。

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　以上が、当チームを立ち上げるにあたって布告されましたプロジェクトの概要となります。

　これからプロジェクトの進展および報告は、チームの広報担当である私、ハーフエルフの藤原ヘンリッテがお送りします。

　チーム所属の皆様、そしてプロジェクトを支援頂ける皆様には、これよりお伝えしてまいりますプロジェクトの進捗報告へのお付き合い、どうぞよろしくお願い致します。