第3話
「……」
私は、今の衝撃的な『写真の映像』に無言のまま何も言えず、写真を持ったままその場に立ち尽くした。
しかし、すぐに――。
「……っ!」
完全に油断していた私に対し『何か』が私の首を掴んだような感覚と、強い衝撃が走った。しかも、どんどん絞まっていく感覚がある。
「くっ……!」
そこでようやく『首を絞められている』と理解したが……無理矢理上を向かされているからなのか、私からは『誰』が絞めているのか分からない。
このままではいけない……と、頭では分かっている。分かってはいるが……。
締め上げられている痛みと苦しさから声が出せない……。しかも、どんどん意識が……。
「…………」
もうダメだ。そう諦めかけた瞬間――。
「……!?」
いきなり首を絞める力から解放された。
「……? っ!?」
本当に『いきなり』だったから分からない。前触れもなかったし、人が入ってきたような様子もない。
「……っ、ごほっごほっ!」
それなのに、解放された……。それが全然理解が出来なかった……が、それ以上に、今は息をするのに精一杯だった。
「!!」
そして、目の前の光景を目にした私は、驚いた。
『……!』
『…………』
なんと、私の目の前にいたのは『写真に写っていた二人』だったのだ。ただ、二人が何を話しているのかは分からない。
とりあえず『何か言い合いをしている』という事くらいしか私には分からなかった。
ただ、私を助けたであろう人は『突き飛ばされた少女』で、首を絞めていたのは『少女を突き飛ばした人』の様だ。
「……」
どうして、そんな二人がこの場にいるのだろうか……とか、一体どこから現れたのだろうか……なんて、状況は全く分からない。
ただ、私はたった今、首を絞められていた。とりあえず、その事実は変わらない。
だから、とりあえず『大人』を呼ぼうとしたのだが……。
「っ……!?」
なぜか、声が出ない……というか、声を出すこと自体が苦しい。しかも痛い。
恐怖……とか、当然あるが、それ以上に何か……押しつぶされたような感覚があって、声を出せそうにない。
「…………」
しかし、このまま気付いてもらうのを待つわけにもいかない……。いつまた襲われるか分かったモノじゃない。
そう考えた私は、辺りを見渡し、鉛筆やシャーペン、そして『ハサミ』がたくさん入っているペン立てを『窓』に向かって思いっきり投げた。
「っ!」
その内どれが当たったかは分からないが、窓は大きな音を立てて割れた。
『!』
『!』
その音に取っ組み合いを続けて『二人』は驚いていたが、私はそんな事よりも……。
「おい、何か割れる音がしなかったか?」
「何々? どうしたの!」
どうやら父と母がこの音に気がついてくれた様だ。
「おい! どうした!」
「大丈夫!?」
二人が私の姿を見て慌てて部屋に入ってきた時には……ついさっきまで取っ組み合いをしていた『二人』の姿はなくなっていた。
「ちょっと、あなたそれ……」
そして、私の首には大きな青い痣が痛々しく残った――。
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