第325話 レイラの部屋

 だが、部屋の中に入って驚いた。何もかも別世界だ。

 いったいこの部屋は何人用なんだ。


 ここは……


 私の暮らしていたウサギ小屋とは雲泥の差だ。

 家政婦のサクラが車椅子を押して机の前まで運んでくれた。家政婦が微笑みかけた。


「こちらで宜しいでしょうか」


「……」無言で頷いた。

 悪いワケがない。何もかも揃っている。


 私には何ひとつなかったモノが、ここには全てある。


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