第307話

 事故で渋滞しているみたいだ。運転手の黒木は後部座席の私に確認した。


「少し遠回りになりますが……」

 そう言うと車は路地に入った。さっきから運転手はしきりに時計を気にしていた。

「……」ヤケに気になった。見たこともない風景だ。

 細い道を走っていった。


 その時、車の前方をスッと人影が横切った。

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