第51話 作家(志望)さん、ご注意を
最近、書く作品が暗い。
ネタ不足というのもある。
時間がないというのもある(最近就職しました)。
なので、今回は短大時代にあった出版に関する思い出話。
(楽しい話ではないです)
私が在学した短大は目の前が巨大物流倉庫で数キロ先が牧場という、少なくとも一流とは言えない、短大にいた。
なお、私の在籍した国文科は今はない(らしい)。
当時の私はとにかく、小説を書いては手当たり次第に出版社に投稿をしていた。
時々、教授に見せて評価を受けていた。
今と違い、書くネタは泉のようにあり(その代わり練りが甘い)、時間があり、学生という自由な時間だった。
終いには某大手出版社から「もう送らないでくれ」と言われた。
そんなある日。
とある出版社から一通の手紙を受け取った。
(当時はメールが珍しい時代)
内容はこんな感じだ。
『残念ながら、あなたの作品は賞には届きませんでした。しかし、編集部では非常に好評でしたので出版費の六分の一、○○万円を頂ければ全国の書店で出版します』
当時の私には非常に魅力的だった。
ただ、毎月の仕送りでかつかつの生活をしていた私にはとても払える金額ではなかった。
あと、何か嫌な予感もした。
そこで、出版に詳しく私の作品を評価していた教授に持っていった。
手紙を見て、教授は言った。
「君、自分の作品は世に出していいと思っているかい?」
私は少し考えた。
「無理っすね、まだまだ」
「だろ? じゃあ、止めておきなさい」
以後、自費出版を勧める出版社は無視していたが、毎月のように『今月の出版』の冊子が届いた。
私は短大を卒業し、一年の就職浪人をして、初めての就職をする。
ある日、テレビをつけて見ると、あの自費出版の会社が詐欺で社長などが逮捕されたというニュースが流れた。
そのニュース番組は少し詳しく放送していた。
確か『自費出版をする』と誘い込み、最終的に数百万円まで払わせて、実のところ全国出版どころか印刷すらしてないという(だったと思う)。
作家(志望)さん、ご注意を。
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