第15話 死体発見

 死者を探して街へと調査に出た私は、人々を鑑定してまわりました。私は無差別連続通り魔のごとく手当たり次第に歩行者を標的にしていきます。


 鑑定、鑑定、ひたすら鑑定。


 知は力なり。今の私は情報弱者とは一線を画す強者です。「鑑定」により私は一段階上の存在へと進化を果たしたのです。高揚感が収まりません。


「そこの君、ちょっといいかな?」


 誰かが後ろから声をかけてきました。この高揚感に水を差すとは、いったい何様でしょうか。


 振り返るとそこには衛兵がいました。まさかの権力者様でしたか。


「君、今鑑定使ってたでしょ」

「いいえ、使ってません」

「他人の許可なくステータスを見るのは犯罪って知ってるよね」

「いいえ、知りません」


 なぜばれたのでしょうか。私は衛兵を鑑定しました。するとこの衛兵、スキル「鑑定察知 LV3」を持っているではありませんか。


「あ、また鑑定したね。ちょっと署まで来なさい」


 私は逮捕されました。



 取調室で私は無罪を訴えました。動く死体を捜索するために必要な処置であったと主張します。こんなこともあろうかと作っておいた書類を見せ、正式な捜査であることを示します。冒険者ギルドは国からある程度の捜査権を認められているので私は釈放されるはずです。


 問答の末、冒険者ギルドから確認兼身元引受の人員が呼ばれることになりました。お役所仕事はこれだから面倒です。誰が来るかはわかりませんが、早く解放されたいです。


「マリーン、何してるのさ……」


 来たのはエルーシャでした。私を憐れんだ目で見ています。なんという屈辱!


「私は無罪です。これは悲しい事故です」

「はいはい、犯罪者はみんなそういうの」

「だから違いますって」

「あ、そうそう。ギルマスが減給だって」


 泣きっ面に蜂!むごすぎる・・・。


「うちのマリーンがご迷惑をおかけしました」


 エルーシャが衛兵の方たちに頭を下げました。この屈辱はいつか返します。


 こうして私は釈放されたのでした。



 次の日、私は再度捜査に出かけました。今回は衛兵詰所のほうにも通達を送っているので、逮捕されることはありません。これで心置きなく覗き放題です。私はジャン君が死体を目撃した商店街にやってきました。


 捜査を始めて数時間、私はとうとう目的の人物を見つけました。名前はフルーさん、状態は死亡、ジャン君の証言通りの男性です。


 私はフルーさんの尾行を始めました。

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