第35話 ご苦労!三馬鹿トリオ!
リーンとの決闘に応じて殴り合いを開始した私は・・・
「ふん」 「ふん!」 「ふん!」
「どりゃ!」 「どりゃぁ!」
・・・互いに右腕で攻撃を受けては捌きを繰り返し激闘を・・・、しているの思ってるのはコイツだけだ。私の方は十分余裕がある。適当にリーンに使い合いつつ勇者達の戦いぶりを見物する事にした
「とった、腕ぇ!」
「グワン!」
勇聖者はメイスを回しながら撃ち、エルブの腕をもぎ飛ばす
「甘い!」
しかし直ぐにそのもいだ腕が呪詛をまき散らし破裂する
「ほう・・・」
勇聖者は呪詛を浴びるがあまり効いてはいないようだ、呪詛が拡散してしまっているいるからだろう。エルブは勇聖者が傷を負っていない事に気付いていない様でチャンスとばかりに飛び掛かる
「とったのはこっちだぁ!!」
「ひょいっと」
勇聖者は持っていたメイスを投げ渡す様にゆっくりと投げ、そのメイスをエルブは受け止めてしまう。聖職者が聖別したメイスをだ
「うあ、あちちちちちぃい!!」
メイスに触れたエルブはメイスの魔力と反発し火傷を負い、その隙に勇聖者は左小指を右手でデコピンの要領で弾き飛ばした
「お返しです」
勇聖者の身体から切り離された指は爆発し、エルブの顔に傷を負わせた
「うわあ! 目が!目があ!! ・・・・なんちゃって」
しかしその傷も腕と共に直ぐに回復しはじめる。勇聖者はのんびりと弾いた小指の傷口に薬を少しかけて
「小まめに手当てしませんと・・・ねぇ!」
残りを全てエルブにぶちまけた
「うおお!また目があぁ!!!」
回復途中に聖水を浴びせられて苦しむエルブを、勇聖者は足払いで地面に倒し
「バシンッ!」
「うごッ!」
勇聖者は踵で何度もエルブを踏み潰して仕留めた
「そらそらっそらそら!!!」
「グチャ!」「ビチャ!」「ゴジャ!」
ふむ、呪詛と浄化、技と力、性質は違うが純粋な魔力量が
「グオン!」
・・・不意にリーンの拳が視界を遮ってくる。邪魔くさい、拳が来る前にすべて打ち返してしまおう
「ガシ!」>バチン<「ガシ!」 「ガシ!」>バチン<「ガシ!」
「ガシ!」>バチン<「ガシ!」
「ガシ!」>バチン<「ガシ!」
「ガシ!」>バチン<「ガシ!」
さて勇者の方はどうかな?
「うりゃ!」
勇者は右手で柄を掴み、左手で刀身の中ほどを掴む対甲冑用のハーフソードと言われているスタイルで戦っていた。ただ力で押し切れなかったので、あえて懐に入る手段に出たのだろう
「らあ!」
「とッ」
だが大人しく相手も合わせてくれる訳もなく、ゲッテムは剣を振り下ろしけん制し、勇者を引かせた
「待ってました!」
「なに!」
勇者はそれを見越していた様で、身体で持ち手を隠しながらハーフソードから両手で刀身を握った構えに変え、それをゲッテムの頭に向かって振り下ろす
「ッッ!」
ゲッテムは近い間合いに居た勇者を無理矢理叩き返そうとしたが為に、剣に勢いがついて上段を守るのが遅れる、そう判断してからの焦りからだろうゲッテムは馬鹿正直に冗談をガードした
「ガンッッッ!!」
ゲッテムは剣で勇者の剣の刀身を押さえる事に成功した。だが剣を逆さに持った勇者の攻撃はゲッテムの守りを抜け、長い鍔をゲッテムの頭に見事命中させた
「うっ・・・」
「もらっ・・・・たぁぁぁ!」
その隙に勇者は再びハーフソードの構えに戻り、切先でゲッテムの腕を下に押しのけた後、ゲッテムの胸に剣を突き刺す
「うららららららああぁぁぁ!!!」
刀身を片手で握るハーフソードでは、剣の弛みが軽減され刺突力が上がる。勇者はさらに深く刺す為、両手で柄を握り突進し、深く刺さった剣の鍔がゲッテムの右腕を押さえつける
「貴様ままぁぁ!」
ゲッテムは勇者の突進に負けず、左手で剣を振り上げ柄で勇者を殴りかかった
「あぶねえ!?」
勇者は剣を離して一歩引いてその攻撃を躱した。柄を振り下ろしたゲッテムは勢いあまって身体を回転させつつ転ぶ・・・ように見せかけ勇者に攻撃を仕掛けた
「ぃじい!!」
ゲッテムは自身に刺さった背中まで貫通した剣の切先で勇者を攻撃
「ほんとにあぶねえ!!?」
「シュン・・・・」
だがその攻撃も勇者の直感の前には無意味だった。ゲッテムはそのまま本当に転び、貫通した剣に刀身が床に押し付けられゲッテムの体重に耐えきれずへし折れた
「カンッ!」
「クルクル・・・」
「コッ」
勇者は転がって来たその刀身を踏みつけて止め、拾い上げたその刀身を握って倒れるゲッテムの頭に突き刺した
「じゃあ!!」
「ザシュ」
「ぐお!」
決着だな。こちらもさっさと終わらせよう
「戯れご苦労であったなリーンよ」
「なんだ・・・」
私は鎖が絡まった方の腕を鞭をしならせる要領で振り
「ゴボン!」
「!? うぎゃあ!?!!?」
その勢いでリーンの腕をもぎとって、そのもぎ取った腕で何度も殴りつけてやった
「バコ!」 「ボコ!」 「ドゴッ!」
「グシャ」「ビチャ!」「ミチャ!」
「パコッ」 「ピトッ」
「ヌチャ…」
そうしてリーンが動かなくなった所で鎖を解き腕を投げ返してやった
「これで決着だな。文句は無かろう? 貴様の様な弱者にもちゃんと腕の見せ所を作ってやったのだからな」
私が戯をやめると、戦いのを終えた勇者達が集まって来た
「我が死よ、お疲れ様でした」
「取りあえず終わったなバルト」
「ああ。エルウッド、さっさと用事を済ませよう」
「だな、ちょっと待ってくれ」
エルウッドが奥の金庫の様な箱をいじっていると、魔力拘束が解かれ、箱の扉が開かれ、光の中から勇者の装備が姿を現した
「ほう・・・」
「これはまた・・・」
私と勇聖者の反応を見て、勇者が誇らしげに語った
「どうよ、これが俺が人魔戦争末期に使っていた鎧だ」
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