銀色の戦士(2)
「キシャアアアア!!!」
「ねぇシルバーマン、本当に僕何もしなくていいんだよね!?」
『大丈夫だ!さぁ、行くぞ!』
そのままシルバーマンはチョップを繰り出し、怪獣を後退させた。
『むっ…しかし硬いな「装甲怪獣シルバレス」…』
「シルバレス?」
『あの怪獣の名称だ。その名の通り硬い装甲に覆われている。』
チョップを繰り出した時に少し痛がっていたのはそのためか…
「シャァァァァ!!!」
ズドン!ドシン!!
『グアッ!!』
「シルバーマン!!」
シルバレスが硬い装甲を武器に突進を繰り出し、シルバーマンを逆に押し返した!
『くっ…装甲を1枚さえ剥がせば…』
「剥がせば…どうなるの?」
『剥がした装甲部分に「とっておき」を流し込む!』
とっておき?それって何なのかな?
「キシャアアアーーー!!!」
ボォウ!!
『デヤァ!!』
シルバレスの口から放たれた火球をジャンプで避け、そのまま腹の装甲にキックをお見舞した!
カシャアン…
「やった!剥がれた!」
『よし!今だ!』
ギュゥゥゥン……
何やら謎の構えを始めるシルバーマン。もしかして必殺技とか!?
『シルバーブラスト!!』
ピカァァァァン!!ズドーーーン!!
「ギ…シャ…」
ズドン!!
拳から放たれた光線が剥がれた装甲部分に直撃し、シルバレスは呆気なく倒れた。やはり柔らかい装甲の裏側は弱いようだ。
「倒したの…?」
『あぁ。これでもう大丈夫だ。』
シュゥゥゥン……
また銀色の光に包まれ、一体化が解けた。しかしブレスレットは腕に付けられたままだ。
「あー…何かどっと疲れた気がするなぁ…」
『すまない。私が無理をしたせいで君にも少し影響が及んでいるようだ。ところで…君の名前は?』
「アキラ…須郷アキラ。」
『アキラ。これからよろしく頼む。』
よろしくと言われてもなぁ…まぁ体貸しちゃったし仕方のないことなのかも…
ー翌朝ー
『昨日の夜、謎の巨大生物が街に出現し被害をもたらしましたが、突如現れた「銀色の戦士」なる巨人によって倒されました。あの巨人は我々の味方なのでしょうか?』
「君、すっかりニュース沙汰だよ。」
『こうなることは最初から承知の上だ。』
朝のニュースを見て早速僕達のことが取り上げられていることをシルバーマンに伝えた。こんな調子じゃ、学校でも話題にされてるだろうな…
「シルバーマン、学校にいる間はこのこと黙っててくれないか?正体とかバレると色々と面倒だし…」
『分かっている。誰にも口外することは私もしたくないのでね。』
ー学校ー
「おはよっ!あっくん!昨日のあれ見た?」
「あ、うん。あの銀色の巨人のことだよね?」
ここでもミカから早速言われた…ミカはこういう話結構好きだからなぁ。
「そうそう!みんな「銀色の戦士」って呼んでるんだけどかっこ良くない!?誰が変身してるのか気になるなぁ…」
その…変身というか一体化してるの僕なんだけどね…
「そうだよねー…あはは…」
「あっくん…何か昨日あった…?」
ギクッ!この言葉はかなり刺さる…!
「いやっ!昨日は何もなかったよ…」
「…本当に?ジー…」
「本当だって!」
「まっ!あっくんが隠し事なんてするはずないもんね!ゴメンゴメン!」
ふぅ~…今のは心臓に悪かったな…
ー昼休みー
「ミカ、今日も屋上で…」
「ミカー!一緒にお昼食べよー!」
「今行くねー!ごめんねあっくん、また今度で!」
「…………」
『…………』
ー屋上ー
「ここなら良いよシルバーマン。」
『完全に拒否されたな。アキラ。』
「しょうがないよ。今日は僕一人で食べるさ。」
屋上には誰もいなかった。僕(とシルバーマン)がただポツリと居座ってるだけ…
『君は彼女に好意を抱いているのか?』
「なっ、何でそんなこといきなり聞くんだよ!」
『彼女…ミカと言ったかな?ミカに断られた時の君の顔はショックとも悲しさとも言える顔だった。あの顔は本気の顔だったぞ。』
「…まぁ…結論から言うと好きだけど…」
『別に君をからかいたい訳じゃない。ただ君があまりにも悲しげな表情だったからもしかしてと思ってな。』
「お気遣いどうも。」
この金属生命体、意外と話分かってるのかな?
ー放課後ー
ザー…ザー…
「あちゃー…朝晴れてたから傘持ってきてないや…」
「僕も忘れてきちゃった…あ、なら僕のアパートで休んできなよ。」
こんな大雨じゃ流石にミカの家までにはびしょ濡れになる。
「いいの?お邪魔しちゃって…」
「大丈夫だよ!それに僕のアパートの方が近いし。」
「ありがとう。やっぱりあっくん優しいね。」
そ…そうなのかな…?
ーアパートー
「着いた…ゆっくり休んでっ…ッ!?」
透けてる…!ワイシャツが濡れて下着が丸見えだ…!
「あのー…ちょっと申し上げにくいんだけど…」
「んっ?何?」
「透けてる…」
「あっ…」
慌てて胸元を隠して顔を赤らめるミカ…そりゃそうだ…
「ごめん…そんなつもりは…」
「いや…大丈夫だよ。」
何か変な空気のまま、部屋に入ってしまった。
続く。
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