第3話ソフィア・エレノール
しばらくして、ようやく拍手が鳴り止むと校長は再び口を開く。
「えー、それでは、留学生の中から、代表としてソフィア・エレノールさんに挨拶して頂きます。ソフィアさん、どうぞ」
校長の言葉に、舞台上の一人の女生徒が壇上に歩み出る。
黄金のロングヘアーは歩く度に魅惑的に靡き、真夏の海原を映したような紺碧の瞳はキラキラと輝き見る者を魅了した。
聖夜に舞い降りる白雪のような透明感の有る肌が男子生徒の視線を釘付けにする。
ソフィア・エレノールが登壇した。
「ただいまご紹介に与りました、スウェーデンから来たソフィア・エレノールです。この度は日本で皆さんと共に机を並べ様々な事を学ぶ機会を得た事を大変嬉しく思います」
史上最高と名高いヴァイオリン、ストラディバリウスの音色に聴き入った事の有る山田直樹だが、その時以上にソフィアの声色に魅了された。
そしてその美しい調べが紡ぎ出される桃色の唇から目が離せなくなった。
これが天使か、と直樹は思った。
大した事、有った。
驚くような事なんて現実ではそうそう起こりっこ無い、と豪語したが、明らかな間違いだった。
ソフィアの答辞が終わり、校長が口を開く。
「生徒の増加に伴い、学級を再編成する。各自、指名された教室の席に着く事。留学生諸君にも事前に校内案内とパンフレットの配布を済ませて有るから案内は不要。無用な混乱を避ける為に速やかに移動する事。以上」
校長の言葉に、皆が移動を始める。
男子生徒達も事前に配布されていたパンフレットを確認して自分の教室を目指す。
「2-Fか」
直樹は自分の新しい教室を確認した。2-Fは新設された校舎に有る。
2-Fへ足を運ぶのは直樹も初めてだ。
鼓動が高鳴るのを感じながら歩く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます