ブロンド彼女
シルヴィア
第1話共学化
山田直樹の通う空蝉男子高等学校は男女共学化に踏み切ろうとしていた。
山田直樹は自分を凡人とは違う天才、或いは選ばれた人間であると夢想する何処にでもいる平凡な男子高校生だ。
通学途中には携帯をいじり、クラスメイトと会えば内心冷めつつも談笑に耽る。
太陽が眩く照らす青空。
本日は晴天なり。
「聞いた?」
直樹に話しかけたのは、十文字将人。
「何をだよ」
「共学化するって」
「ああ、下らねえよな」
「なんでだよ、下らねえ事ねえよ。むしろ上等だろうがよ」
「いや、下らねえだろ」
「なに、直樹ってばゲイなのか!?早くも女子受けを狙ってんのか!?」
「ざっけんなよ!つか、共学化で盛り上がってる奴等がキモイんだよ」
「なに、硬派なの?硬派ぶってんの?ヒュー、かっちょいー」
「ざけんなよ」
「いやん、怖い」
「マジでざけんなよ」
「でもさ、気になんねーの?」
「なんねーよ」
「一ミリも?」
「一マイクロもなんねーよ!どうせ大した事ねーって。驚くような事なんて現実ではそうそう起こりっこねーの!」
「冷めてんね~、直樹は」
≪学校≫
学校に到着し、教室に到着し、着席する。
直樹と将人のクラスの担任教師、長部正太郎が教壇に立つ。
「今から体育館に移動する」
「せんせー、たいくかん、じゃなくて、たいいくかん、っしょ」
クラスのお調子者が野次る。
「うるさいぞ!先生はちゃんとたいいくかんと発音した!そもそも先生はせんせーじゃなくてせんせいだ!」
≪体育館≫
全校生徒が体育館に集まっていた。
私語の楽園だった。
「うるさいぞ!静かにしなさい!」
体育教師の大村我星が生徒を怒鳴る。
「今から校長先生に話して頂く!!」
校長が登壇する。
「どうも、皆さん御存知の校長です。そしてこれまた皆さん御存知の様に、我が校は共学化と言う英断に踏み切りました」
「かっこつけんなよ校長!」
「英断って(笑)」
「自分で言うなッつの」
野次が飛ぶ。
「そして、本日付で女生徒を編入します」
「うおおおおおおおおおおおおお!!」
「っしゃああああああああああ!!」
「キタ――――――――ッッッ!!!」
校長の言葉に歓声が上がる。
「うるさいぞ!静かにせんか!!」
体育教師の大村が叱責する。
「静粛になるまで、女生徒を紹介出来ませんね」
校長のこの一言で、生徒達はピタリと静まり返る。
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