第4話 始まりは暗闇の中で4
森の奥へとアンデッドナイトは逃げていく、
段々と霧も濃くなっていき森自身も徐々に不気味さを増して行ってるような、
エリアへと進んで行く。
アクア
「サニア待って!」
その中をアクアさんは一心不乱に追っていく、
周りのプレイヤー達も強敵と思われるサニアの存在に気づき、
倒せば報酬やドロップがあるのではと思ったのだろうか
続々と黒騎士を追いかけ始め人数は増えて行きその数約20名、
やがて少し開けた場所に着くとアンデッドナイトは見えなくなってしまった。
アクア
「サニア…」
「やっと追いついた」
アクア
「主すみません」
「アクアさんの知り合いなの?」
アクア
「ええ、でも見失ってしまって」
「う~ん、きっとこの辺りに居るはずだよ」
アクア
「…」
周りを見ると追ってきたプレイヤー達も辺りを探索している、
俺達もアンデットナイトを探しながらアクアさんに問いかけた。
「サニアさんって誰です?」
アクア
「そうだな……主には説明しないといけないな」
なんとなく予想はつくのだが……
アクア
「私はウォータリアという国の姫であった、しかしその国は他国から策略によって内部崩壊してしまった」
やはりそうだったか…
「策略?」
アクア
「すまぬ 詳しくは言えない…すまん」
「ふむ」
アクア
「私は数人騎士、私の守役と一緒に国から逃亡したのだ」
「ふむふむ」
アクア
「先程いたサニアは私と同じくらいの女の騎士で数名いた騎士の一人」
「そうなんですね、彼女もアンデットに」
アクア
「そんなはず無いんだ…私は追ってから逃げられないと分かった時、荷物等を全て預けて私が半ば強引にではあるが一人囮になり、皆を逃がした筈だったのだが……」
「作戦がうまくいかなかったとか……」
アクア
「いや そんなことはないはずだ!守役のシュピーゲルがそんなミスをするはずがない、彼は老兵で引退はしておったが、元は我が王国の騎士団長……判断を間違えるなど……無い筈」
「騎士団長ですか…」
アクア
「ああ 私の指導係でもあって強くて優しい人だ、それに戦闘以外にも博識でダンスが好きで私に社交用のダンスを教えてくれた優しい人だ……」
そんな話をしていると……
プレイヤー
「お!」
一人のプレイヤーが何か発見したような声をあげたので俺たちは急いで声のした方へ駆け寄ると……
プレイヤー
「こっちに宝箱と食糧があるぜ」
そういってその宝に触れようとした瞬間!
プレイヤーが黒い幕に包まれて行った。
ヨッジー
「バトルフィールドか」
「バトルフィールド?」
ヨッジー
「まったくそんな初歩もわからないとは、ヘルプ画面見てみろ」
『バトルフィールド』
交戦中に他のプレイヤーから妨害を受けないように、戦っている場所がパーティーメンバー以外には黒い幕の様に覆われて見える、重要な戦闘や一部の戦闘で発生することがある。
「となるとボス戦か何かな?」
ヨッジー
「たぶんな」
だがそのバトルフィールドはすぐ消えた。
ヨッジー
「早!もう終わったのか」
そしてバトルフィールドその周辺のプレイヤー達に次々と発生しては消えて行く。
「これはやばいんじゃないか」
周りのプレイヤー達も慌てだし、
慌てて仲間を呼ぶ者
戦闘準備をする者
様々なものがいたが、すごい勢いでバトルフェールに食われて行く。
ヨッジー
「まずいな…どんどん人が減ってくぜ」
「ああ やばいな」
ヨッジー
「たぶん あれはやばいタイプの敵だぜ」
「となると…」
俺は嫌な予感というか…お約束のような…
そんなことを不安にかられてると一瞬周りの音が消えた
そして…
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
アンデッドナイトヘッド
レベル???
HP???
MP???
スキル
不明
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ヨッジー
「ダイン!やばいぜ捕まった」
ヨッジーが叫ぶ
「サニアさんと違う奴だな しかし…なんだ!このステータス」
ヨッジー
「グランドクエストのボスの中には前の戦闘のダメージが蓄積するタイプがいてそいつらはある一定までHP減らないと???になる奴が多いんだよ!最初に説明あっただろう」
すみません…とばしていました…
ヨッジー
「ついでにその蓄積ダメージの一番大ダメージ与えたものがMVP、撃破したものは撃破ボーナスがあるんだ」
「なるほどね…強敵の様ですアクアさん…?」
無言のアクアさんを嫌な予感をしながら見ると青くなって震えている。
「アクアさんどうしたんですか?もしかして…」
アクア
「あの鎧…シュピーゲル どうして…」
やっぱりか~~~~!
予想通りというか…なんというか…このお約束パターン!
ウオオオ!
凄まじい咆哮を上げているシュピーゲルさんは他のアンデッドナイトと比べ色は赤黒く、節々が金色に彩色されている。
大きさも一回りでかい顔は般若とでもいいったらいいのだろか、
いかにも怒りを表したマスクをしている。
その姿を見てアクアさんがその敵へと走り出す
アクア
「シュピーゲルなのでしょ、その鎧は見間違えないもの…なんで…」
「あぶない!」
敵の剣が容赦なく振り下ろされると地面は割れ、そこから炎が上がる。
ヨッジー
「反則的な強さだな」
ヨッジーの顔から笑顔が消えた。
「逃げられないかこれは…」
ヨッジー
「通常の戦闘と違い、バトルフィールドからは逃げられないみたいだ」
「まいったな…アクアさん大丈夫?」
ふとアクアさんを見ると、
アクア
「なんで……逃げれたんじゃないの?」
完全に錯乱している。
「しっかりするんだ!アクアさん!あれはもうシュピーゲルさんじゃない!」
アクア
「ちがう!あれはシュピーゲルだ!」
泣きながら叫ぶ、
「そうかもしれないけど、もう自我を失っている」
アクア
「分かってる…だけど…」
「ヨッジーこうなったら俺達でやれるだけやろう」
ヨッジー
「わかった」
アクア
「やめて!シュピーゲルを攻撃しないで」
「アクアさん、ああなってしまった以上あの状態から解放してあげないと彼が苦しむだけです」
アクア
「……」
俺とヨッジーは覚悟を決めて迎撃態勢に入る。
ヨッジー
「ツインヒット!」
ヨッジーが先に仕掛け
「*追槍」
俺は先程覚えた技で追撃する。
*追槍:自身もしくはPTの攻撃後に使用することでダーメジが上がる槍、手槍のスキル
キン!キン!
カン!
当たりはするがダメージ判定は低そうだ、
ウオオオオオ!
相手の反撃が来た、なぎ払いのようなモーションで広範囲に炎を飛ばしてくる。
ブオーン
ヨッジー
「くっそ!よけきれねー!」
アクアさんの方に目をやると、
未だに錯乱状態から戻っておらず立ちすくんでいる!
「アクアさん危ない!」
バチン!
攻撃が直撃する
「アクアさん!」
そのまま倒れしまう
アクア
「シュピーゲルなぜ…」
完全に無防備なアクアさんに対してナイトヘッドは止めを刺そうと動く、
「アクアさん逃げるんだ!」
助けに向かうが間に合いそうにない!
ナイトヘッドは剣を高らかに構え そのまま 振り下ろす
アクア
「シュピーゲル……」
アクアさんは涙を流しながら問いかける、
ガンン!
鈍い音が響く
くそ!
俺は恐る恐るアクアさんを見ると、
そこには信じられない光景が……
ナイトヘッドの剣がどこから現れたかわからないが、先ほど現れたサニアとよばれたアンデットナイトがアクアさんの前に仁王立ちして剣からアクアさんを守っていた
アクア
「サニア?…」
アンデッドナイトの目に光が蘇っているように見えた、
そして…
アンデットナイト(サニア)
「に・・・げ・・て、 い・・・きて」
自身に突き刺さった剣を受けたままナイトヘッドを押していく、
アクア
「サニア・・サニア!」
しかし無情にもナイトヘッドはそのまま剣を振りぬく、
サニアさんの必死の押し返しによってかろうじて剣はアクアさんには届かなかった。
だがサニアさんは剣をまともに受けてしまい…やがてその体は光の滴へと変わって行く…
アクア
「サニアどうして…嘘でしょ!なんで私の為に…私はあなたに生きて欲しかったのに」
光の中から薄らと声が……
サニア
「私も……いえ私たちも同じ気持ちだったから…」
光は消えた…
アクア
「サニアーーーー!」
俺はアクアさんを抱えナイトヘッドから距離を取る、
アクア
「主!サニアが…サニアが…」
「アクアさん意識をしっかり持って!サニアさんの為にも生きるんだ!」
アクア
「そうだ…主!私に使った奇跡を行えばサニアそして!シュピーゲルを…」
「すまん あの薬は1つしかないんだ」
アクア
「そんな…私なんかに使ってしまったから……私なんかじゃなくて…彼らの方が奇跡を受ける資格があるというのに…」
「アクアさん、生きる資格とかそんなのは自分で決めることじゃないとおもうよ」
アクア
「違う!私のせいでみんなが……!」
アクアさんはなにかに気付いたようにナイトヘッドへと走り出した。
アクア
「主…約束を破る…すまん」
そしてアクアさんはナイトヘッドの前に立つと、
アクア
「シュピーゲルよ、そのような姿になって苦しかろう、私も先日までそうであった」
ナイトヘッドは剣を構える。
アクア
「私は主の薬により元に戻れた…だが薬はもう無いらしい…」
一歩ずつナイトヘッドへ近づく、
アクア
「だが安心しろ、私の身体にたぶんその薬の効果が残っていると思う、だから私を使ってお前を治す、そしてできれば私の代わりに主に仕えてくれ」
そういと アクアさんは自らの剣を自分に向けて己を刺そうとした。
「待って アクアさんそんなことをしても!」
俺がそう叫ぶが……
アクア
「これが私に出来ることだ!」
そういって剣を自分へと……
アクア
「っく…!なぜ!」
しかしその剣はアクアさんを傷つけることはなかった、
何故ならナイトヘッドが刀身を手で掴んだからだった。
ナイトヘッド(シュピーゲル)
「ノゾマヌ・・・ソ・・・ノ・ヨウ・ナ・コト」
そしてそのまま握った刀身を己に向けて勢いよく差し込み、
アクアさんから離れ自身に火のスキルだろうか自身へ放った。
アクア
「シュピーゲル!なぜ…なんで…シュピーゲル」
そして燃え盛る体はやがて火は消えて倒れサニアのように光に変わって行くナイトヘッド
アクア
「待ってくれ!わらわをおいて行かないでくれ!」
光の一部は人の形の様に見えそれにむかってアクアさんは駆け寄り、
一生懸命それが天に昇らないようにしているが……
「ボス戦後のイベントか…」
やがて丸で森が浄化されていくかのように周りからも光が空へと昇り始める。
ヨッジー
「ああ 多分そうだろうな…」
俺たちはゲーム感でプレイしていたが…目の前の出来事が酷くゲームではないように見えてなんだか……
アクアさんをこのままにしておくことも出来ないので駆け寄った時……
「姫…お手を」
確かに聞こえた天に昇る光の中から暖かい声が、
アクア
「シュピーゲル!シュピーゲルなのか」
アクアさんが人様に見える光の手をつかむ、
シュピーゲル
「姫…手はこちらですぞ」
そういってダンスの形を取ると 軽やかに動き出す
「待ってくれ!シュピーゲルこのようなことをしている時では…」
シュピーゲル
「姫……私がお教えしたダンスは覚えていますか?大切な事は最初の一歩だと…」
アクア
「そんなこと今は……」
シュピーゲル
「復讐や悲しみに捕らわれ歩むことも、あなたが幸せな未来を掴むのも『一歩』から始まるのですあなたにはどちらの一歩も歩める」
アクア
「シュピーゲル…」
シュピーゲル
「あなたは一人じゃない……」
そういうと森を包む光が集まり人のような形になる。
アクア
「みんな…」
シュピーゲル
「我々を止めてくれてありがとう…そして…生きていてくれてありがとう…」
アクア
「私だけ……」
涙声で答えるアクアさん
シュピーゲル
「良いのですよ…姫自分を責めないで…我らの希望はあなたです…あなたが生きていることが…我らの喜 び…」
アクア
「…」
シュピーゲル
「姫あなたの未来が喜びに満ちますように…」
そういうと消え始める光…
アクア
「シュピーゲル!みんな!」
光から声が聞こえる
「姫…私たちを止めてくれた皆さんへの感謝を伝えて下さい、そして新しい仲間と明日へ歩き出してください…」
そういうと光は消えた
アクアさんは下を向いている…
バトルフィールドが消えていく…
曇っていた空は晴れ…大きな月と星空…
周りには ボスを待っていた沢山のプレイヤーに囲まれていた
プレイヤー達から
「おお 倒したのかよ…」
「ちぇ!」
「おめでとう!」
いろんな言葉が飛び交う
そんな中
アクア
「みなさん!」
突如アクアさんが大声を上げた
「なんだ?」
「おいあれって噂の姫騎士じゃないか」
「マジか!かわいい!」
ざわめくプレイヤー
「みなさん!今回は私の家臣の暴走を止めて頂きありがとうございました」
アクアさんがみんなに語りだした…涙を必死に止めながら
アクア
「家臣の皆は国を追われ…必至で逃げて…生きようとして…私を生かそうとして…いつのまにか闇に囚われていました…」
辺りが静まる
アクア
「本来であれば私が皆を止めなければならかった…、だが私には力がなく…私すら闇に囚われていた」
目にはいっぱいの涙
アクア
「そんなとき、皆さんが彼らを止めてくれ町など被害もでず…闇からも救ってくれた…、私にはなにもできないが、責めてお礼を言わせて欲しい」
涙を振り切り
アクア
「ありがとう」
深々とお辞儀した…
NPCの戯言と笑うものも居たかもしれないが
ほとんどのみんなは拍手をしてくれた
「このクエストにこんなストーリーがあったとはく~泣かすぜ~」
「姫さま頑張って!」
「俺姫に一生ついてく!」
などという好意的な意見が多かった
そんなとき
俺にGMからコールが掛った
「はい」
・
・
・
「なんだって!」
俺の声で周りのみんながこっちをむく
ヨッジーが
「おい どうした?」
「GMがアクアさんはバグだから補償はいろいろするから消させてほしいと・・・」
「なんだって!」
俺の言葉に周りがざわめき
「ふざけんな!抗議いれるぞ!」
「そうだ さっきの演説 掲示板にUPして呼びかけだ!」
「姫様親衛隊つくるぞ!」
周りが騒がしくなる…
それからがすごかった…
話は拡散してGMへ抗議の嵐と掲示板の炎上など…
その後しばらくして、アクアさんの消去がとりやめになるまではちょっとした祭りだった…
~制作会社~
「これはやばいな…」
「まさかこんなことになるとは…取りあえずこの話は無かった定で連絡するぞ」
「プレイヤーも人工AIにそこまで入れ込まなくても…」
「最新のAI使ったしね…ここまで感情豊かなるとは予想外だった…しかもなんかストーリーも自立して出来ているし」
などと製作者達が打ち合わせしていると
バン!
机を叩く音が響き、辺りが静かになる
女上司
「まあ…キャラのデリートは無しの方向で、だだし…これからストーリー上での無理ない設定での消 去、死亡等ならプレイヤーも納得いくでしょ…」
こうして…制作陣対俺とアクアさん、そしてプレイヤー達の戦いが始まるのだが…それはもうちょっと先のお話し…
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