ドリームドロー そのⅣ
二冊目には、何が書いてあるんだ? 一冊目と同じだろうか? 俺だったら半分は同じで、残りの半分は内容を変えるが…。
俺は大型のウォーターガンを手にすると、構える。ここで適当に撃っても勝てないが、このまま引き下がるわけにもいかない。
「ところDE、こっちのスケブにはNA、こんな面白いものが描かれてるんだZE!」
衝三がページをめくると、そこに現れたのは…。
「俺?」
俺だ。白黒だが、どう見ても俺。写真よりそっくりだ…。それが、動いている。
「スケールバーさえ入れればYO、大きさは自由だからNA。さあて粒磨YO、暴れて来いYO!」
俺のモノクロが、懐から水鉄砲を取り出した。
「コイツ…!」
俺はウォーターガンのトリガーを引いた。だが発射した水は偽物が繰り出した水の刃に、引き裂かれた。
「…!」
これはマズい。水は互いに干渉し合う。刃の方の威力が高いなら、俺の水は邪魔される。
「こうなったら…俺が本物だってことを証明するまでだ!」
俺はウォーターガンを置き、水鉄砲二刀流に持ち替える。
「ほほU、面白そうじゃねえかYO!」
偽物が飛びかかって来た。俺は少し避けてかわすと、水を撃つ。だが偽物もそれに反応して、俺の水を撃ち落とした。
今度は偽物が水の刃を振り落としてきた。俺も水の刃で迎え撃つ。二つの刃はぶつかると、両方ともはじけ飛んだ。
「…互角KA? もっと一方的だと思ってたんだがYO」
俺が撃てば、偽物も撃ってくる。偽物が切りかかれば、俺も切りかかる。これでは、終わりが見えない…。いや、俺の方が疲れている。息が切れているのは、俺だけのようだ。
「あっ!」
偽物が、水の球を作りだしている。それを俺に、撃ち込むつもりか! だがそんなものは、防ごうと思えばいくらでもガードできる。この水の刃で、切ってやる!
ついに偽物がそれを発射した。捉えられる動き、軌道。俺は水の刃を振る。この高さとスピードなら、間違いなく切れ………。
水の球の軌道が、曲がった。
「しまった!」
これは魔法の弾丸でもあったのか!
「げっ!」
俺の顎にそれが命中した。俺は後ろに吹っ飛ばされた。この水の球、こんなに威力が高かったのか…。それを今、身をもって知った。
偽物が、さっき俺が置いたウォーターガンを拾って、こちらに銃口を向ける。対する俺は、やっと膝立ちができるぐらい。これは避けられそうにない。
「さA、やっちまE!」
衝三が合図をすると、偽物は水を発射した。
俺は…。
俺は水の刃を作ると、それを偽物目掛けて飛ばしてやった。
「おI、今何をしTA?」
飛んで行った水の刃は、偽物の右腕に当たると、それを切り落とした。
「俺は右利きだからな…。利き腕でトリガーを引くように構える。だから肘付近に命中させられたぜ。そして持ち替えようとするなら…させない!」
もう一度、水の刃を発射。偽物には防御する暇はない。首に当たって、頭が地面に転がり落ちる。そして体も崩れる。
「絵だから血も出ないんだろうがな…。自分でも結構グロいやり方だとは思うぜ。しかも偽物とはいえ、自分だしよ…」
勝利はしたが、複雑な気分でもある。後は衝三を負かせるだけだ。
「粒磨いいZE! 俺もそろそろ暴れたいからNA!」
二冊目のスケッチブックの画用紙を、一枚一枚スパイラルからビリビリと破いているぞ? これは一体…。
「さA、始まりだZE!」
今度はその紙を、バラまいた。宙を舞う紙から、白黒の人や象やライオンが次々と出てくる!
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