第7話 離婚届に署名を貰いに行ってくれた!

おじさんは彼に連絡を入れてくれた。日曜日は遅番なので家にいるということで午前10時にアパートに訪ねるとのことだった。私はアパートで待っていた。


12時前におじさんから携帯に連絡が入った。署名を貰ったとのことだった。よかった。私は自分の部屋で待っていると言った。


午後1時を過ぎたころにおじさんが部屋に来てくれた。ほっとした顔をしている。


おじさんの話では彼は私に会わせてくれ、会って私の気持ちを確かめてから署名すると言い続けたという。


彼が私と別れたくないと言い張ることは分かっていた。別れたくないということはこれまで何度も聞いた。


でも私に接する態度は変わらなかった。それに一番失望したことは私の大切にしていた貯金を無断で引き出して使ったことだった。


これだけは許せなかった。そして許せるほど彼を愛していなかったのだとも分かった。だから私も今度は本当に別れることにした。それが二人にとって一番いいことだと思った。


おじさんには何とも言いようがないくらいに迷惑をかけた。また、おじさんの思いを裏切った私のために、おじさんがここまでしてくれるとは思わなかった。


本当に私のことが好きで大切に思ってくれていることがよく分かった。もう絶対に離れてはいけないし離れない。


「彼に署名してもらってきた。これを提出するか破ってしまうかは未希次第だ」


「月曜日に提出してきます。ありがとうございました」


「彼がいない時に、未希が荷物を取りに行くと断ってきた。俺が彼にシフトを確認して、いない時に取りに行こう。離婚届を提出したらすぐの方がいい。俺も一緒に行ってやるから心配しなくていい。彼にはもう未希に会わないでくれと言っておいた。もしストーカー行為をしたら警察に届けると脅しておいたから大丈夫だろう」


それから、おじさんは今まで気になっていたと言って、私に聞いた。


「未希、なぜ彼に俺たちの本当の関係を話さなかったんだ?」


「おじさんが他の人に話してはだめといったから」


「心を許した結婚相手にも話さなかったのか?」


「おじさんとの二人だけの大事な思い出だから」


「あんな忌まわしいことが大事な思い出か?」


「私は忌まわしいとは思っていません。おじさんは約束どおり私を守ってくれた。それが嬉しかった。最初はいやだったけど慣れてきて段々良くなった。だから」


「だから?」


「おじさんが忘れられなくて」


「そうだとしたら、俺は未希に謝らないといけない。そんな風に俺がしたのだから。離婚の原因を作ったのは俺かもしれない。済まなかった。許してほしい」


「いいんです。謝らなくても。これからも一緒にいてくれれば」


「俺は一緒にいて、これからも未希を守る。約束する」


私はおじさんに抱きついた。おじさんも私を強く抱き締めてくれた。もう絶対にそばを離れない。


「未希を抱いてやりたいけど、やはり今は抱けない。彼の手前もある。離婚届を出してからにしたい。今はこれからの二人のことを考えてみたい。いいね」


私は頷いて、おじさんから離れた。おじさんはそれから部屋に戻って行った。おじさんの気持ちが良く分かった。

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