冬の雨が上がる時

第25話 穏やかな生活が続けばいい！

７月になった。随分夏らしく暑くなってきた。おじさんの身体に変調が起こってからの二人の生活はそれなりに落ち着いて来ていた。

朝は６時に二人起床する。すぐにおじさんが朝食を準備してくれる。トーストとチーズ、それに牛乳、プレーンのヨーグルト、バナナ、リンゴ、キャベツ、ニンジンなど適当に加えて作ったミックスジュース。おじさんはこれで栄養は十分、食品会社に勤めているから栄養学的な知識はあると言っていた。

私が通学を始めてから、手っ取り早く作れて、栄養のあるものを朝食に取らせたいと考えてくれたみたいだ。これでお昼まで大丈夫と言っている。ミックスジュースもバナナが入っているから甘くなって飲みやすい。私がお代わりをするとおじさんは嬉しそうだ。

私は洗濯機から昨夜入れた衣類を取り出して、それぞれの整理ダンスに片付ける。おじさんは私の負担が少なくなるからと言って、洗濯機を乾燥機付きに買い替えてくれた。脱いだものをその日のうちに洗濯機にかけておくと翌朝には出来上がっている。洗濯物を干したり取り込んだりする手数が省けるし、雨の日でも問題ない。ありがたい。

おじさんは７時30分までには出勤する。私は朝食の後片付けをして7時50分位にはアパートを出る。

私の通学時間は30～40分位だ。洗足池から電車で蒲田へ出て、京浜蒲田まで歩いて、京急蒲田から平和島まで電車で行く。最初、五反田へ出て品川へ、品川から京浜急行で平和島まで行ってみたが、乗り換えが多くて運賃も高いので、今の経路にした。蒲田駅と京急蒲田の間は歩かなければならないけど、商店街を歩くのは楽しいし、定期代もうんと安い。

私のお昼はパンかお弁当を買って食べている。学業とアルバイトで疲れるので、朝にお弁当を作る余裕はさすがにない。私は４時前には帰って来る。クラブ活動はしていない。それからコンビニで８時までアルバイトをしている。土日も働いている。

だから夕食を作る余裕もない。８時に部屋に戻ってきて、コンビニで売れ残って安くしてもらった弁当や、おにぎり、パンなどを食べている。

おじさんは早ければ８時ごろ、遅くてもこのごろは９時までには帰ってくる。帰り道で弁当を買って帰ってくるけど、毎日同じものでは飽きると言って、買う場所も替えているみたいだ。

10時にお風呂に入ることになっているが、時間があると私の勉強を見てくれる。ほとんど全科目を見てもらっている。１年のブランクがあったけど、それですべての教科について行けているので安心している。

お風呂は二人で入る。私がおじさんの身体を洗ってあげる。おじさんも私を洗ってくれる。それからベッドで11時には寝ることにしている。おじさんは相変わらずで私に何もしない。私をただ抱き寄せて眠るだけだ。

私が望むと私の身体を撫でてくれる。そうしてもらうととても気持ちがよくてすぐ眠りに落ちる。おじさんは何も言わずにただ撫でてくれる。これでいいのと聞いたら「未希にはお風呂に一緒に入ることや抱き締めて寝ることで貸は返してもらっている」と言った。

あのはじめのころの日々は本当にぐったりするまでおじさんは私をもてあそんだ。私は終わった後に解放されてただただ眠っただけだった。おじさんは横で満足そうに私を見ていた。

でも今は私を大切に扱うようにそっと抱いて寝てくれる。私はそれに答えるようにおじさんにしがみついて眠る。私は安らかに眠れるし、おじさんも安らかな顔をして眠っている。

夜中に目が覚めたら、おじさんが私の顔を見ていたことがあった。おじさんがあわてて目を外したけど、とっても優しいまなざしだった。守られているという感じがして、嬉しくなって抱きついた。それからまた眠った。