第11話 クズ



   平日の朝から酒を片手に公園を歩く


   朝もやの月を見ながら飲む酒は 俺の心に沁みわたる


   無職になって15年 夢は1発あてて大金持ちになる事だ


   しかし何をすればいいのだろう


   振り返ればギャンブルと酒に明け暮れた日々


   週に2日作業所に通い小銭を稼ぎ生きて来た


   障害年金は俺の命綱 ありがたく頂くとしよう


   俺はまだ人生を諦めていない 考え過ぎで頭も白くなった


   幻聴との付き合いも上手になってきた


   でも仕事をする意欲も根性も無い 


   何もしないで流されているこの感覚がたまらなく好きだ


   人はそんな俺をクズと呼ぶ


   まぁいいさ なんとかなるさ


   俺から見れば 周りの奴らの方がクズなのだから




*~*~*




 タンポポ(仮名)と呼ばれている支援センターに僕は通所しています。


 この作業所に週2日通所しているSさんは約15年タンポポで活動しています。読書が大好きで僕の書いた【人間のカケラ】も読んでくれました。


 【自殺願望が消える日に】の詩は携帯に書いているので完成するとSさんに読んでもらっています。なかなかの辛口コメントで、僕の書く詩は心にスーッと入って来ないと言われています。


 詩のタイトルを何にしようか話していると、僕が「クズ」ってどうですか?とたずねると大うけしたのです。まるで俺のようだと。


 こうして1つの詩が誕生しました。モデルはSさんです。


 でもSさんはクズなんかではありません。生き方が不器用なだけです。


 携帯もパソコンも持っていないのでカクヨムとは無縁の人です。


 いつの日か、良い詩だと言われるモノを書きたいと思います。


 


   

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