何度生まれ変わっても君を愛してる

華愁

さようならは再会のために

1955年


ごめん、

君を置いて

いくことを許してほしい。


本当は僕は君を

置いていきたくないんだけどね……


********************************


2055年。


〈僕〉は前世の記憶を持っいる。


二十歳になった日から

それは【夢】として毎夜みていた。


毎夜少しずつ変わる場面。


【夢】の内容が本当なら

二人は死別ということになる。


前世の〈僕〉は何らかの理由で

死ぬということだ。


声だけ聞こえる〈彼〉は

前世の〈僕〉の傍で泣いている。


顔は見えないけど

すすり泣いている声は

はっきりと聞こえていた。


現世の〈僕〉はまだ

現世の〈彼〉に会えていない。


前世の【夢】を

見るようになって七年。


〈彼〉は現れるのだろうか?


********************************


二十八歳の誕生日を

二週間後に控えたある日

〈彼〉は現れた。


ベタな話だが

その日も夢について考えて

歩いていたら

案の定、人とぶつかってしまった。


謝ろうと顔を上げた先にいたのは

まさしく、ずっと

探していた〈彼〉だった。


直感や見た目というより

魂(こころ)が

〈彼〉だと伝えていた。


********************************


数年後、僕達は同棲し始めた。


後から知ったのだけれど

〈彼〉も前世の記憶があり

直感というよりやはり魂(こころ)で

〈僕〉のことがわかったらしい。


あの頃(前世)の話を沢山した。


二人でいると色々と

思い出していった。


パズルの欠けたピースを

見つけるみたいに。



前世で死別してしまった僕達は

現世でまた出会い今、一緒にいる。



何度生まれ変わっても

〈僕〉は魂(こころ)で

〈君〉だとわかるから。


何度生まれ変わっても

君を愛してる。

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