第3話 初めてのダンジョンバトル
不慮の事故でお亡くなりになられたゴブリンたちは宇宙空間の冷気によって凍り恨めしそうな顔をしたまま死んでいる。
顔の近くを漂っていたのをパチリと払いのけると気持ちがいいくらいパリンと砕け散り宇宙の彼方へと散っていった。
あれから、すぐ来るとか、コアは言っていたのに体内時間で1週間経っても2週間たってもパトりに来るやつはいなかった。
待てど暮らせど誰も攻めて来ず暇なので、こちらからダンジョンバトルを挑むことにした。
ダンジョンバトルはダンジョンとダンジョンの入り口を繋ぎ先に敵のコアを傷つけた方が勝ちだという。
で、ここ宇宙なんだけど入り口ってどこよ。
コアが言うにはダンジョンバトル中、中を攻略しようとしている人間もそのままらしいが、人間側がダンジョンバトルを知らないのは、ダンジョン同士の総力戦であり、どんなに強い人間だろうと両方からの数の暴力に飲まれ死ぬからだって。
なんだそれ。
そんな話はどうでもいい、コアさん、適当なやつを見繕ってくれ。
《OK〜☆きゃぴ》
え?どうしたキモいぞ。
《屑星のダンジョン・ウィードが龍園のダンジョン・ルィツエへ戦線布告しました》
《龍園のダンジョンマスターは準備をしてください。
30秒後に開始します》
はっや!?
30秒ってなんも準備出来ないじゃん!
30分ならわかるけど……ん30分?プ○ミス
ちゃうちゃう、ほんと雑念。消えろ。
入り口がどこか知らないけど、罠も仲間もいないからダンジョンマスターが短期で突っ込むことになる。
この日の為にDPを使ってオートマ専用のオプションパーツを買っておいたし。
正直、赤外線内蔵の目とか、魔法銃を内蔵した腕、ロマン要素で勝ったから役に立つかわからない。
後5秒
4
3
2
1
《バトルスタート!》
◆
◆
オレはルィツエ=アーディウ
龍系のダンジョンマスターをまとめ上げる一派"アーディウ"の一人だ。
ダンジョンマスターごとで派閥を作り協力するのがダンジョンマスターの嗜みであるが、ソロで誰とも組まない奴らもいる。
ソロがいると言っても、生まれたて(ビギナー)かダンジョン界の老害何千年も前から生き残っている連中くらいだろう。
オレ様のダンジョンは見た目は簡素ながらとにかくモンスターに力を入れており全階層にドラゴンがいる。
各階層に配置されているボスも平均lv56
普通のモンスターでも最弱でもlv20はある。
そんな凶悪さからダンジョン界でもそこそこ知られているオレ様のダンジョンだが、何ということか、ソロ、しかもビギナーが愚かにもダンジョンバトルを挑ん出来た。
龍のブレスで、龍の巨体で、愚か者のダンジョンを蹂躙してやるわ!
ははははははは!
ダンジョンバトル開始まで
10
9
8
来い来い来い!
龍どもよ!敵を蹂躙せよ
5
4
3
2
1
《バトルスタート!》
全軍ゥ!突g
◇◆
これがルィツエの最期の言葉になった。
ダンジョンバトルが開始され入り口同士が繋がった。
一方は龍の大軍、一方はダンジョンマスターのみ。
無謀だ。
誰もがそう思うだろう。
結果は目に見えてわかった。
空気がある有限な空間から無限に広がる空気の無い空間に繋がったらどうなるか。
答えは、何処のサイクロン式掃除機のように物凄い吸引力で、ゴミやモンスターを吸い取り無数の小惑星に叩きつけられ粉砕された。
頑丈に閉ざされたボス部屋前の扉も固定されていたはずのコアも驚異の吸引力で根こそぎ吸い取り宇宙空間に放出された。
圧倒的な生命力と防御力を誇るドラゴンでもこれは流石に耐えきれなかったのか、ダンジョンとダンジョンの接触面に向かって吸い取られていく無数の瓦礫の嵐に打ち付けられ、無重力空間にエアジェットを噴射したかのような途轍も無い推進力で放り出され、真空による気圧の変化と極寒に苦しみ、果てには無数に散らばる小惑星、共に飛ばされて来た瓦礫に潰され、生きているものはいなかった。
《勝者 屑星のダンジョン 記録 0,00,09.32》
《最速ランキングが更新されました》
《歴代12位おめでとうございます》
9秒台で12位ってどうなってんだよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます