14.エボリューションスライム

 ぽよんぽよん、ぽよーんっと。

 ダンジョン内の探索にも慣れたもんだね~。


 お、またお宝はっけーん♪


 ――ぱかっ!


 >ちゃららーん♪

 >スライム は やくそう? をてにいれた!

 >スライム は ませき? をてにいれた!


 おや、今回はいつもとちょっと違うぞ?

 お宝だー! やったやったー♪

 薬草っぽいのは今までと違う種類の葉っぱだし、この石は……魔石ってやつだね。


 うーん、見ただけじゃ何の魔法が込められてるか分かんないなぁ。

 取っておきたいところだけど……スライムじゃ持ち運びができないんだよね。

 薬草一枚ぐらいなら頭に乗っけて移動できるけど、それ以上になると大道芸人みたいになっちゃうよね。

 食べるしかないかな? 勿体ないかなぁ。


 どっかに袋とか落ちてないかな~……って、ボク手がないから袋も使えないか。

 いっそボク自身が袋代わりになるとか?

 消化する手前で止めるというか、リスの頬袋みたいにして溜め込めば……!


 ――ぐももも……


 お、イケそう?

 もうちょっと力を込めたらイケそうな気が……!


 ――ぐも、ぐももも……


 もうちょっと! もうちょっとだ!

 えい! えいっ!


 ――ぐも、ぐももももももももも……!


 >ぱららっぱっぱぱーん♪

 >スライム は ブラックスライム にしんかした!

 >スキル しゅうのう をおぼえた!


 ……あれ?

 確かにアイテムは体の中に入ったけど……体ごと変わっちゃったよ?

 なんか色が黒くなった……。


 ……もしかしてボク、進化しちゃった?

 モッタイナイ精神のせいで進化しちゃった?!


 ぎゃーやっちゃったー!!


『ちょちょちょ、リーリオさーん!』


『おめでとうございます~♪』


 ウインドウが開いた瞬間、くす玉が割れた。

 お、おおぅ……そんな物まで用意してたの……。


『さっそく進化できるだなんて、さすがニイムさんですね!』


 うん、ものすごく不本意ながら。


『しかもブラックスライムだなんて! とっても珍しい種類ですよ~♪』


『あぁ、そういえばそうだね。いきなりだったからあんまり考えてなかったや』


『体内の収納力は、さながらブラックホール! 見た目も高級感溢れるカラーになって、一段と可愛らしくなりましたね♪』


『そ、そうだね?』


 見た目は置いておくとしても、確かに収納は魅力的かもしれない。

 快適な旅をするには、生活のアレやコレやが必須だもんねぇ。

 まぁボク、スライムだけど。何が必要なのか分かんないけど。


 やっちゃった感マンマンの進化だったけど、結果オーライかな?

 できれば強くなるような進化が良かったんだけど……。

 リーリオも喜んでるし、まぁいっか!


『うん、ブラックスライムも良いかも~』


 ――ぽいんっぽいんっぽいんっ!


『は~愛らしいッ! スタイリッシュッ! エル・オー・ブイ・イー・に・い・む!』


 よくわからない掛け声が聞こえるけど、スルーしよう。

 そのうち団扇うちわとか横断幕とか作り出したらヤだなぁ。


 あれ、遠い目をしてるせいかな?


 何かを思い出せそうな気がする。



 ――スライムになる前の……ボクの記憶だ。

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