第2123話 あれよあれよと

 夏頃から不定期的にお知らせしておりました、ドラマティックなへその話です。今後の予定としましては、今月、術前診断とかいうやつに行き、特に問題がなければ年明けに手術、と。こういった流れ。


 いや、『手術』とか書くとなんかめっちゃ大事に思えてくるな。しかもこれ、全身麻酔ですからね。全然あれですよ? 悪性の腫瘍とかじゃないんですよ。盲腸とかでもないし。


 ただへそ付近になんか粉瘤的な? こう、袋が出来て、中に膿なのか何なのかが溜まって大きくなってるから取ろうぜ、ってみたいな話なんですよ。いや、たしか脂腺嚢腫って言ってましたから、袋に膿がどうこうではないのか。でもとにかくそれに近いやつです。


 いずれにしても大したことのないやつなのです。ただ場所が悪くて、帝王切開の傷のところに被ってるもんだから、なんやかんやあって全身麻酔することになって――みたいなね、何かそんな感じで、Go to 大学病院なわけです。


 で、全身麻酔で手術ですから、入院です。二泊三日ですけど入院です。家族と離れるのは淋しいけど仕方ない。院内はフリーWi-Fiがあるので、カクヨムは問題なさそう。ただ、部屋にはないらしいので、消灯時間(21時だったかな)を過ぎたら我慢ですかね。そんな早くに寝られるかよ。ウチの子達じゃねぇんだぞ。


 とまぁ、ここまではたぶんお知らせしてたんじゃないかなと。特に変更はございません。ええ。


 それでですね、どこの病院もそうなのかわからないのですが、入院するにあたり、何やら色々な書類の記入を求められたのです。ドックの時に書くような問診票みたいなやつとかですね、ざっくりいうと。


 面倒くさいなぁと思いつつちまちま書いておりますと、こんな項目がありました。


『いつどんなことがきっかけで病院を受診しましたか』


 まぁ、あれだな。へそ周辺にしこりがあることに気づいたからだな、なんて思いつつもお手本をチェック。親切にもお手本がありましたので、その箇所を見てみますと、何やらその『病院太郎(仮名)』さんは、ご丁寧にも、この大学病院に来るまでの経緯を記入しておりました。成る程、この場合の『病院』はこの大学病院を指すのだな。


 そこで、ふとペンを止めました。

 隣には愛する旦那がいます。書類記入の際に近くにいて欲しいランキング第一位、旦那です。本日もありとあらゆる私内ランキングを総なめにしている男。


宇部「良夫さん、ここなんだけど」

旦那「おっ、どうしたどうした。……どんなことがきっかけで病院を受信しましたか?」

宇部「そう。これさ、大学病院ここに来た経緯を書くみたいなんだけど」

旦那「うん」

宇部「私もう『あれよあれよ』としか思い浮かばないんだよね。『あれよあれよと流されてたどり着きました』って書いちゃ駄目だよね、やっぱり」

旦那「あれよあれよ(笑)」

宇部「流れ流れてやって来ましたとか」

旦那「漂流(笑)」

宇部「なんかもうマジでさ、最初は個人病院に行ってさ、そしたら市内の総合病院紹介されてさ、てっきりそこで何とかなると思ったら、あれよあれよと大学病院なわけじゃん。私としても何が何やらよ」

旦那「確かに」


 もうね、マジでなんかぼーっとしてたら、やれCTだ造影剤だ、さらにはMRIだ、っつってね、そんであれよあれよと大学病院なのよ。だからね、それをもう精一杯言葉を選んでね、書きましたけども。


 普段からこんな文章書いてるものですから、危うくマジで『あれよあれよと流されてたどり着きました』とか書くところだったからね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る