第1539話 トイレハプニング
GWのお出掛けのお話の続きです。
さて、さんざん動物達と触れ合いまして、じゃお昼どうする、って話になるわけです。そこで食べるとなると、もう『横手やきそば(秋田の有名なB級グルメ)』しかないわけです。あのね、美味しいんだけど、混みっぷりがヤバいんですよ。あと……ぶっちゃけ毎回それになるから……食べ飽きt……。
ただまぁ、せっかく来たわけですし、お土産くらいは買ってこうか、って話になってですね、じいじとばあばへのお土産と、私は職場へ「皆さんこれでGW共に戦いましょう!」という賄賂を調達しまして、よし、行くぜ更に隣の市のイオン!
もうね、旦那は大変ですよ。一人で運転するしかないんですから。私がね、陽気な陽キャだったらマラカス振りながら漫談でもするところなんですけど、こちとら生粋の陰の者なんでね? 兄の方のDVDのウルトラマンタロウでやいやいしゃべるしか能のないやつですから。
さて、そんなこんなでイオンに到着しましてですね。最近娘が味をしめたサイゼリヤに行ってですよ、家族四人で結構お腹いっぱい食べたのにお会計が3150円で「い、良いんですかサイゼリヤさん!」って感動しながら、お次は自由行動です。
といっても自由なのは私だけで、旦那は子ども達とゲームコーナーなんですけど。さすがに長時間任せっきりは申し訳ないので、急いで手芸屋さんに行って、ババババって布を買ってゲームコーナーへ!
なんやかんやあって、さすがにもう帰ろうか、という話になりました。トイレ行きたい人〜?(挙手制)
で、娘は出ないっていうので私だけ行ったわけです。いやー楽しかったけど、これといって面白ハプニングはなかったな、やっぱりある程度大きくなるとそんなそんなハプニングもないよな、なんて思いながら並んでおりましたら、奥のトイレからおばあさんが出てきたんですね。あっ、良かった入ろう、って思ったら!
上から水がボタボタ落ちてくるんですよ。
開け放たれた個室のドアの枠から、水が滴り落ちてるんですよ。えっ、雨漏り!? スプリンクラー!? どういうこと!? って思ったら、
そのおばあちゃん、ウォシュレット作動させたまま出てきてたんですよ。ウォシュレットって結構な角度で飛んでるんですね。それがちょうどドアの枠にぶち当たってて。
入れませんて。
かといって止めに行く勇気もねぇよ。
そんでUターンしたらもう当然列は埋まってるしね?
とりあえず飛沫程度とはいえ、軽く水を被っちゃってますから、それをどうにかしないとと思いつつも、私がやらかしたと思われたら大変だと思い、「さっきのおばあちゃんがウォシュレット使ったまま出てきたみたいで」と誰ともなしに告げつつ、手洗い場に移動してあれやこれやをして並び直しですよ。
そんでやっと番が回ってきたわけです。
斜め前の個室から、水を流す音が聞こえて来ました。よし、ここか。小さいお子さんと一緒にとか、車椅子とかでも入れるみたいなめっちゃ広いところだけど、とりあえず待ってる人の中に対象者はいないっぽいし、良いだろう。そう思って、一歩進み出たその時です。
ガチャ! ガチャガチャガチャ!!!(鍵のかかっている引き戸を無理やり開けようとする音)
「開かない! 助けて! 開かないいいいい!!!」
女児の悲鳴です。
えっ、嘘でしょ! 一人で入ったの!? 出方がわからない年齢の子が一人で!? お母さんは!?
辺りを見回しますが、我が子の悲鳴に飛んでくる大人はいません。外で待っているのか、あるいはお父さんと来たのか。
とにもかくにも、私がやらねばならないのです。ウォシュレットを止める勇気はありませんでしたが、これは黙って見ているわけにはいきません!
見ると、上下二箇所ある鍵の下の方だけが解錠されています。二箇所施錠したのに、早く出ねばと焦って忘れているのか、(推定)自分の目の高さの方だけ解錠し、開かない! とパニックになった模様。
このパニック女児に届くか、オバちゃんの声が!? そう思いつつ、上の鍵の辺りをコンコンと叩きました。
「もしもし大丈夫? こっちにも鍵あるよ。開け方わかるかな?」
なるべく優しい声でそう言うと、
「あっ」
女児の声です。そして、ガチャ、と解錠の音。窓が赤から白(銀?)に変わり、恥ずかしそうに俯いた女児が出てきました。小さなお声ではありましたが、ちゃんと御礼の言葉も聞こえました。恥ずかしかったもんね、仕方ないね。それでも御礼言えて偉かったね。オバちゃん割と膀胱が限界だったから、一発で伝わってくれてマジで良かったです。
何も面白ハプニングねぇな、と油断してたらこのザマですわ。我が子の面白ハプニングを期待してたんですけどね。まさか我が身にふりかかるとはね。
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