第1434話 書き初め

 長かった冬休みが終わり、子ども達の学校が始まりました。朝は少々慌ただしくなりましたが、むしろ7:10くらいには家族が家を出るので、出勤の時間まであれこれ出来るのが嬉しいです。


 冬休みはですね、自由研究的な宿題が無いんですよ。秋田県がそうなのか知りませんが、「その代わりに書き初めがあります。

 私が通ってた小学校では、夏休みも冬休みもどちらにもその手の宿題があったんですけどね。もう嫌で嫌で。工作か、絵か、習字か、自由研究だったんですけど、最後の方はなんか適当な絵を描いて誤魔化してましたね。小狡いガキでした。


 さて、子ども達です。今回も宿題担当は旦那です。私が振り分けるとどうしても早く終わりすぎたりするので、そういうのはもう旦那に一任です。勉強、親子読書を計画的に終わらせ、最終日には書き初めです。


 で、冬休みが明けますと、書き初め大会があります。毎回なんやかんやで息子が銅賞あたりをとってくるやつです。ちなみにこの賞ですが、金賞、銀賞、銅賞、佳作とありまして、クラスから結構な人数が選出されるため、「何だかんだ全員が何かしらの賞に選ばれるのでは?」という疑惑の大会です。ですが、数えてみたらやはり数人は何の賞にも選ばれていないのです。


 いや、そんな数人だけ残すとかある!?

 逆じゃない? 


 まぁ、学校の方針ですから、何も言いますまい。とにもかくにも息子は何かしらの賞に選ばれがちなのです。別に選ばれなくても良いんですけど。


 というのもですね。

 今年から娘も参戦するからです。

 選ばれるなら選ばれるで、選ばれないなら選ばれないで、どちらかに揃えてくれ! 片方だけ何もないっていうのが一番困るのよ!


 そんなこんなでハラハラしておりますと。


 遅番から帰宅した私に、娘が早速報告です。


娘「ママ、わたし書き初め大会で、『佳作』とった!」


 もちろんね、すごいじゃん! って褒めましたとも。めちゃくちゃ褒めましたけど、ふとよぎるのは息子ですよ。息子は?! 息子の方はどうなんだ!? これで息子の方がなにもなかったら気まずいぞ!?


宇部「コソッ)良夫さん……あの、息子の方は……?」

旦那「大丈夫、息子は銅賞」

宇部「ぃよっしゃあぁ! 息子! 息子も頑張ったねぇぇぇ!」


 これで心置きなく両方褒められるってなもんですよ。もうね、何賞でも良いのよ。何かに選ばれてさえいればそれで良いの。


 そんで息子の方も褒め倒して、数日後ですよ。


 学校から帰って来た娘がですね、むふむふしながら言うわけです。


娘「パパ、ママ、わたし今日ね、重大発表あるから」


 重大発表?!

 

 いつもなら先に何かしらの情報を仕入れている旦那も初耳の様子。何だ何だと思いつつも、あれこれ済ませて、その時を待ちます。


娘「じゃ、パパとママ、ご飯食べるところに座って目つぶって待ってて」


 何?! 何が始まるの?! もうドッキドキです。


 目を瞑り、待つことしばし。心の中では「内容によってはこれで1話書けるな」などと考えておりました。


娘「はい! 開けていいよ!」


 その声で、目を開けます。

 するとそこには、満面の笑みで佳作の賞状を持っている娘の姿が……!


 いや、もったいぶった割には既に知ってる情報――! それこないだ聞いたよ? さんざん褒めたよね? あれ? 覚えてない?!


 なんてまさか言えませんから。

 旦那とね、そこはもう阿吽の呼吸で拍手ですよね。キャー! すごーいっ、娘ちゃーんっ! ってやりましたわ。


 もうね、疑ってないから。褒めてもらえることを、彼女は。何なら『参加賞』とかでもね? 一応『賞』って書いてるじゃないですか、賞状っぽい感じのもらえるじゃないですか。そういうやつでもこれくらいの演出で渡してきますからね。ちょっと小さい頃から褒めすぎましたね。まぁ、可愛いので良いです。これからも褒め倒しますね。

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