第1271話 それはそれでと思いかけたけど
いまから1ヶ月くらい前の話になるでしょうか、ちゃんと笑い話になったら書こう、と思っていたやつがあるんですけど、まぁ無事に笑い話になったというよりは、忘れてたのを思い出したから書くんですけど。
私は鼻炎持ちでして、季節の変わり目になると突然鼻が詰まりだすんですよ。そんで、どれくらいかな、2週間くらいは詰まるかな。その時にもよるんですけど、とにかく余程の場合を除いて病院とか薬には頼らない感じで自然に任せて――というか、ほったらかすんですよ。それで治ってきましたんで。
ですがこれも不思議なもので、その鼻炎での鼻詰まりって、嗅覚は生きてるんですよ。普通鼻が詰まったら嗅覚もアウトな気がするんですけど、どういうわけだかこの鼻炎による鼻詰まりは嗅覚もばっちり生きてるんですよ。ただただ息苦しいだけ。それにいまはマスク生活なので、口呼吸しててもバレませんし(ハァハァ言ってるかもしれないけど)。そういうのもあって、放置しちゃってたんですよ。
そんなある日のことです。
いつものように鼻詰まりが発生しまして。
6月の終わりか7月の頭のことでしたので、すでに夏には突入しているのでは、とも思い、これ季節の変わり目か? という気持ちもありました。ですが、私です。自他ともに認める鈍くさウーマンですから、そういうこともあるかもしれません。結局ね、自分の身体のことなんて自分でもわからないのよ。
とにかく、放置しました。
どうせ鼻炎なのです。いつものことです。
が、その時の鼻詰まりはいつもと違ったのです。
最初におかしいと思ったのは、日課である『背中吸い』です。皆さんも覚えていらっしゃるかと思いますが、私は毎日旦那の背中の匂いを嗅いでいるのです。その時におかしいと思ったんですよ。
匂いがしねぇ。
季節はもう夏です。
旦那はその日もよく働いていて汗をかいています。無臭なはずはありません。毎日嗅いでいる私が言うのですから間違いありません。私くらいになると「ぶっちゃけちょっと臭いな」くらいでは怯みません。嗅ぎます。
が、なんの匂いもしないのです。
よく言うじゃないですか、自分の体臭はわからないって。あれかな? って思ったんですよ。いよいよ毎日嗅ぎすぎて自分の体臭レベルに馴染んじゃったのかな、って。まぁ、それはそれである意味夫婦の形だよね、と思うことにしました。
いや、絶対違うな、これ、と思ったのはその翌日以降です。
トイレも臭くない。
さすがに愛する人のモノだとしてもですね、そりゃあBの後のトイレは臭いんですよ。アイドルはBなんてしませんけど、ウチの一緒に住んでるアイドルはBがちゃんと出るタイプなんでね?
これはさすがにおかしくねぇか。
ここでやっと私は気付いたんですよ。
よく考えたらなんか味覚もおかしいな、と。
さんざんコーヒーを飲んだり朝ご飯だのを食べているにも関わらず、その時には気付いてないんですよ。お前、さては惰性で食ってたな?!
朝ご飯は私の中で味云々よりもその日の午前中を戦い抜くために摂取するもの、みたいな感じなので、ぶっちゃけメニューもワンパターンですから、たぶん空腹に任せて食べてるんですよ。味わってない。
これで味見しながら料理するタイプだったら、味覚がおかしかったら味付けもおかしくなるんだと思うんですけど、元々味見なんかしないので、家族からのクレームもないわけです。
コ□ナなんじゃねぇの……?
咳も発熱もなんもないけど、これがその自覚症状なしのコ□ナなんじゃねぇの……?
焦りましたよね。
だって、その発熱とか咳とか、そういう派手な症状がないものですから、普通に生活してるんですもん。マスクはしてるし、うがい手洗いもしてるけど、それでも家族とは普通に生活してるわけで。
えっ、これマジでヤバくない?
私、ばら撒いてるんじゃない?!
って、焦ったんですけど。
ただ、じゃあどこでもらってきたの、って話になるじゃないですか。ほぼほぼ家と職場とその中間地点のスーパーにしか行ってないのに。それで、もちろん職場でも、スーパーでも、コ□ナは発生していないわけです。何だ何だ、どういうことだ。
って考えてるうちに、もう一つの症状に気付いたんですよ。
何か鼻の上の辺りがズンと重くて痛いんですよ。
まぁ、鼻水がそこに詰まってんだろうな、って思ったんですけど、そこでピンと来たんですよね。
蓄膿症だ、これ。
蓄膿症だったんですよ。
道理でいつもの鼻炎のとは違う感じの鼻水が出ると思ったんですよ。
結局ね、ただの蓄膿症だったので普通に治ったんですけど、やっぱり色々考えましたね。もしコ□ナだとして、このまま後遺症的なアレで嗅覚と味覚がないままだったらどうしてたんだろう、って。
でもそこで一瞬「てことは、どんなに臭い時でも旦那の匂い嗅げるな」って考えちゃって、我ながら頭イカレてんな、って思いましたね。
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