第1115話 神様は見ている

 神様ってほんとにいるだなー、って思うことありません? 私は別にキリスト教徒でも仏教徒でもないんですけど、たまにそんなことを思います。


 ただ、割とですね、良いことがあったとか、何かが報われたとか、そういう時に考えるというよりは、何か悪いことがあった時に「あぁやっぱり神様は見てるんだな」って思うことの方が多いような気がします。何でしょうね、良いことは全部自分の手柄にしたいのかもしれません。


 それでですよ。

 ほら、先日ね、娘にサプライズで注射一本のところを二本打ったって話を書いたじゃないですか。結局娘は、泣かずにやり遂げ、大変偉かったんですけど。あぁ、余談ですが、まだ保育園児ということもあり、私のお膝の上に乗せてお注射してもらったんですが、娘ね、確かに年齢だけを見れば保育園児なんですけど、身長と体重は小学2年生くらいあるんですよ。


 重てぇ重てぇ。


 お兄ちゃんの方もたまに甘えてくる時なんかにお膝に乗せるんですが、兄はやはりほっそりしているので、体重的にはこっちの方が重いんですけど、何ていうんでしょうね、骨骨しいといいますか。その点娘ちゃんはふっくらもちもち。ママの役目は、娘が暴れないように押さえるというものだったんですけど、ひたすらもちもちふっくらの感触を楽しんでましたね。いやー重かった。


 それで、そう、そのサプライズ予防接種のね、罰が当たったんかな、っていうのがね、その日の夜に来て。


 手巻き寿司ですわ。

 ひな祭りでしたからね、娘ちゃんのリクエストで手巻き寿司なんですわ。ただ、具材につきましては、こちらも彼女からのリクエストを全採用いたしました結果、


・納豆

・ツナマヨ

・卵焼き

・きゅうり

・ハンバーグ


 という、生物ナマモノが一切入らないラインナップになりましたが。まぁ、生物ナマモノが食べられない私にしてみれば願ったり叶ったり。


 さて、具材、ご飯(酢飯が苦手な人がいるのでただの白飯)、海苔を準備しまして、手巻き寿司パーティーです。酢飯じゃないならただのおにぎりパーティーなんじゃなかろうかと毎回思うんですけど、良いんです。


 悲劇は数分後に起こりました。


 ベリッ、と何かが破けた音が聞こえました。外ではなく、内から。内、というのが正しい表現なのかはわかりません。とにかく、私の身体のどこかから、そんな音がしたのです。そして、チリっとした痛みと、違和感。


 ですが、そんなことより腹を満たしたいのがこの私。ダイエットだっつってんのに頑なに食事制限はしたくないことでお馴染みのこの私なのです。食べます。


 けれども、食べつつもやはり何か違和感なのです。主に口です。唇です。


 何よ、と思いつつ、鏡を見ます。アラフォーともなりますと、常にお肌のコンディションチェックはかかせませんので、自席のすぐ近くにポケットミラーがあるのです。アラフォー関係ないかもしれません。


 唇の皮ががっつり持っていかれてました。

 海苔です。

 パリパリの海苔の野郎が唇にくっついたのを無理やり剥がして食べた際に、皮を持っていかれた模様です。


 大きさにして、5ミリ四方。何だたったそれくらいかよとか言っちゃあいけませんて。唇ですよ? 唇と考えたら5ミリって結構大きいですから。


 何ていうんですかね、乾燥している時に保湿をうっかり忘れた状態で笑っちゃった時とか、ぱっくり割れるじゃないですか。あれもかなり痛いですけど、所詮は『線』なんですよ。


 ところがこいつは『面』なのです。『面』で持って行ったのです。


 もしかしたらね?

 『線』でぱっくり割れる方が深さはあるかもしれません。こちらは所詮表面の皮を持っていったに過ぎないのです。


 けれど!

 ですけれども!!


 ダメージを受ける範囲が広いんですよ!

 これはこれでてぇ!

 あと、ぱっくり割れは滅多に腫れたりしないんですが、こっちは腫れましたわ!


 もうね、娘の了承もなしにサプライズで注射を二本も打つような鬼母には、ちゃんと相応の罰が下るようになってんだな、って。

 

 しまった、今日って『1115いいちこ』だったんだ。いいちこ飲めば良かったかな。飲みながら書けば良かったかな。いや、飲めねぇっつーの。

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