第948話 夢
えっ、また夢の話? って。
違うんですよ。
夢は夢でも違う話なんです。
ご存知ですかね、『夢グループ』という企業を。
ジャパネットた●たみたいな感じで、番組と番組の間の数分間に色んな商品を紹介してくれるんですよ。長めのCMですね。まだジャパネットさんみたいな番組形式のは見たことがないです。私が知らないだけで番組持ってたりするのかしら。
こういう通販番組って、見てるとついついほしくなっちゃったりするんですよね。ほら、深夜に、健康器具とか調理器具の通販番組とかやってたりするじゃないですか。あれなんかは危険ですね。深夜のテンションでもうマジで欲しくなっちゃうから。私の場合は電話が苦手なので、勢いでかけたりすることはないんですけど、ちらっと検索してみたりしますよね。レビューを。
そんでやめるんですけど。
それでですよ、その夢グループなんです。
これがまた一癖も二癖もあってですね。
まずこちらもジャパネット方式で社長自らが出演しているんです。
ところがですね。
まぁお世辞にも滑舌が良いとは言い難く。あとちょっと独特のイントネーションがあるんですよね。方言でしょうか。わかりませんが。
それでですね、セットのようにその夢グループの女性歌手の方も出てる(芸能事務所でもあるようです)んですけど、何かもう、雰囲気がキャバクラ等で社長さんを持ち上げるホステスのような……。
「社長〜! もっとお安く~」
「社長〜! もう一声~!」
それで社長もですよ。それに応える応える。
ハ〇キルーペっぽい拡大鏡もですね、まずハズ〇ルーペよりも格段にお安いというのに、その女性の方の声で二つつけて(もちろんお値段据え置き)みたり、もちろん、二つあるわけですから、ケースも二つプレゼントしたりの大盤振る舞いなわけです。
もうこの夢グループのCMが私も旦那も大好きで大好きで仕方がないわけです。新商品のCMが出たらもう前のめりで見ますから。今度はどんな商品を何十%オフで提供してくれるのか、目が離せません。
いつだったか、夢サイクロン掃除機(4万円くらいするやつ、だいたい商品名に『夢』がつく)を驚愕の1万円で売った時にはさすがの旦那も声を失ってましたね。一万円引きじゃないんですよ。一万円なんですよ。四万円のやつですよ?! そんなことある?!
ただ、我々には必要のないものばかりなこともあり、ただただCMを楽しむだけだったんですけども、ここへきて、職場の方(以下Sさん)がまさかの申し込みTELをしたらしく。
これはもう即インタビュー。夢グループにもしもしテレホンすると一体どんな感じになるのか!?
Sさん「義母がどうしても掃除機が欲しいっていうので、電話したんですよ。そしたら……!」
宇部「(すごいもったいつけるじゃん。オラわくわくすっぞ)そしたら……? ま、まさかあの社長が出たとか?(まぁそんなわけないか)」
Sさん「そのまさかです!」
宇部「エエ――――ッ?!」
そのまさかだったようで。
えっ、社長、CMだけじゃ飽き足らず、電話の方にまで?!
Sさん「と言っても、自動音声なんですけどね。混み合ってたみたいで。またおかけ直し下さい的な」
宇部「それにしたって社長の声録音する?! それで、かけ直したんですか?」
Sさん「そう、それでですね。混んでたし、もう面倒くさいからいっかなー、って放置してたんですよ。そしたら」
宇部「そしたら……? (えっ、まだあるの?!)」
Sさん「向こうからかかって来たんですよ!」
宇部「向こうから?!」
手厚いサービス! 何としても顧客を逃さないその精神!
宇部「何ていうか……。逃がさないぞ感がありますね」
Sさん「それが違うんですよ。てっきり普通に『おまたせしました、どちらの商品ですか?』みたいな内容かと思ったんですが」
宇部「……(ゴクリ…」
Sさん「心変わりされたりしましたか? どうしますか? 買いますか?(オドオド) みたいな感じだったんですよ!」
宇部「意外と消極的――――!」
結局買ったらしいんですけどね。
そんでさすがにかけ直してきたのは社長ではなかったみたいですが。
何かもう色んな意味で最高だなって思ったので、これからもCMの度に熱い声援を送ろうと思います。
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