第810話 食えんのかい!

 先日ね、木のおもちゃ美術館での話を書きましてね、そんでTwitterの方に写真を載せたわけですね、例の20000円くらいする積み木で遊ぶ息子と、娘カフェのサンドイッチセット(ハムチーズサンド、何か色々入ったサラダ、何も入っていないスープ、付け合わせのトースト)を。


 まぁもちろん子ども達の顔はわからない感じですし、他のお子さんも写らないようになんですけど。

 それでですね、息子の頭がね、写ってるわけですけど、よくよく見たらですね、よくよく見たらっていうか、髪の艶かな? って思ってたやつが、どうやら頭の傷(手術の痕)だったようで。まぁ別に隠してるわけでもないので、良いんですけど。


 ここのどの辺で書いたか覚えてないんですけど(何せ800話以上あるからして)、息子君はですね、0歳11ヶ月くらいの時に開頭手術をしているんですね。私と同じ病気なので、早期発見して手術さえしてしまえば特にどうということはないやつ(私が元気に生きているのが証拠)なんですけど、2歳半で手術した私と違って、息子君はまだバリバリ離乳食&よちよち歩きの0歳児。とりあえず1歳前にやっときたいよねー、っていうので、何とか体重を増やして増やして臨んだ感じでした。


 で。


 即生死にかかわるような手術ではないにしても、やはり可愛い我が子の頭が開かれていると思うともう気が気じゃなかったです。私の時も両親はこんな気持ちだったんだろうな、などと思いつつ待つこと数時間。


 もちろんこれといったトラブルもなく、無事に手術は終わりましてですね、しばらくは麻酔が効いているので、確かちらっと見るくらいしか出来なくて。そんで、「息子君、いま麻酔から覚めましたから~」って連絡が来たわけなんですけど、確かその時旦那はいなかったんですよ。手術の無事を見届けてから仕事に行ったんだったかな、病院は仙台だったんですが、当時は盛岡(岩手)に住んでたんですよね。


 それでですね、手術中にね、看護師さんから色々話を聞いてましてね。術後気を付けないといけないこととか、そういうのね。


看護師さん「術後はですね、瞼に軟膏を塗ってて(その理由は忘れた)包帯を巻いてますから、何も見えないので、パニックになる子が多いです」

宇部「成る程」

看護師さん「なので、近くにいて手を握ったり、たくさんお話してあげてください」

宇部「わかりました(任せろ)」

看護師さん「それから、頭の傷に響くので、ご飯が食べられない子がほとんどです」

宇部「そうなんですね(頭が痛くてご飯食べられないとか可哀相すぎる……)」

看護師さん「それで、普段元気の良い子でもしばらくは大人しくなります」

宇部「それはやっぱり傷が痛むからですか?」

看護師さん「そうですね」

宇部「……(いつも元気いっぱいの息子君が……イカン想像で泣きそう)」


 で、ドキドキのご対面ですよ。

 術後は顔がパンパンに腫れてることとかそういうのも聞いてましたから、あまりのショックでぶっ倒れないように、色々と覚悟を決めてドアを開けたら、そこには――、


 看護師さんに桃を食べさせてもらってめちゃくちゃモグモグしている息子の姿が――!!


 おい!

 頭の傷に響くんじゃねぇのかよ!

 はい次お願いします! みたいな感じで大口開けて待ってんじゃないよ、お前!

 その後も普通につかまり立ちをしたりして、全然大人しくもねぇと来たもんだ! 点滴外れるっつぅの!!


 ってね、なんでこの話を思い出したかっていうと。


 先日、お舅さんが結構な怪我をしまして。頭も何針か縫ったんですよ。

 そんで、やっぱり同じ話になるわけですよ。


 しばらくは頭の傷に響くから、あまり食べ物は――、って。


 お舅さんね、現役バリバリで肉体労働していた人(しかもスポーツで大学行ったタイプ)だからか、基本的にめちゃくちゃ丈夫で生きる力が半端なくてですね。


 バリッバリと煎餅食ってましたわ。かってぇやつ。


 それを旦那から聞いてですね、

 

 ああ、息子にも彼の血が流れているんだな、って。こりゃあ頼もしいぜ、って。

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