第694話 待ちわびる
皆さん、待ちわびてますか?
いきなり何なんだ、って話なんですけど、いや、「○日は○○の発売日だ! 楽しみ!」とか、そういうやつですよ。「あと○日で誕生日だ」とかそういうのは一旦置いといて。そういうのはほら、年一のスペシャルなやつだから。
昔の自分はどうだったかなって。
誕生日とかクリスマスはたぶん楽しみにしてたと思うんですけど、何かの発売日とかってあんまり意識してなかったんじゃないかなって思うんですよ。特に小さい頃は、りぼんとかなかよしも毎月買って(もらえ)るわけじゃなかったですし。
だけどある程度大きくなりますと、好きなアーティストのCDが出るとなればうきうきして待つようになるわけです。特に私が好きなアーティストはですね、田舎なもので知名度が低いんですよ。だから予約しないと手に入らなかったりして。
なので、発売日っていうのを意識し始めたのはだいたい高校生くらいなんじゃないかなって。
だからですね、週刊誌も月刊誌も定期講読していない子ども達はまだ週とか月の概念というかそういうのがないんじゃないかなって思ってたんですよ。そのうち自分のお金で漫画とかを買うようになったら身に付くのかなぁ、って。
そしたらですね、息子が言うわけですよ。
「もうすぐ1月○日だね。楽しみだなぁ」って。
その日は息子の誕生日ではありませんし、旦那の誕生日でもありません。ド平日ですし、特にこれといった予定もありません。というか、いまは冬休み中ですので平日も休日もないんですけど。
何だ?
何の日だ?
じいちゃんばあちゃんの家にお泊まりする(我々がパーリナィする)日でもありませんし。
わからない時は旦那に聞きます。大抵のことは旦那に聞けばわかるシステムとなっております。
「あぁそれはね、本の発売日」
本の発売日!?
そんな待ちわびるようなやつあったっけ?
「え? 何の本?」
そう尋ねますと、旦那は居間の本棚(子ども達専用、絵本とか息子の特撮関連本がぎっしり)から一冊の本を取り出すのです。
『ウルトラ特撮』でした。
って何の本だよ、って思われた方が大半かもしれません。私だってそんな本があるなんて知りませんでしたから。その名の通り、『ウルトラマン』でお馴染みの円谷プロが講談社から出しているムック本のようです。
ていうか、この『ムック本』っていうのがそもそも私にはわからないわけですが。いまざっと調べてみたところ、雑誌(MAGAZINE)と書籍(BOOK)を合わせた感じの刊行物、ということらしいです。何ていうかですね、雑誌のように一定期間が過ぎたら下げちゃう感じではなくて、発売された後も売れない限り残ってる、っていうか。そういうやつらしいです。へー。まぁ良いです。
とにかく、そういう感じの本でですね、この『ウルトラ特撮』は(おそらく)、一冊まるまる番組一本に焦点を当てた内容となっているようで、つまり『ウルトラマン』とか『ウルトラセブン』についてとにかく詳しく載ってるっぽいのです。
最近の息子はTSUTAYAに行きますと、さっさと借りたいものを選んでは書籍コーナーにダッシュする傾向にありまして、その『ウルトラ特撮』を立ち読みしているらしいのです。
で、一冊630円(税別)なものですから、何かしらのご褒美としてお姑さんが買ってくれていたらしくてですね、それが旦那が本棚から出してきた『ウルトラ特撮』なのです。ちなみに表紙はガラモンで『ウルトラQ』特集のやつです。『ウルトラQ』ってお前。白黒のやつだぞ。
そしてその後ろのページにですね、今後の刊行予定みたいなのが載ってたんですよ。彼はそこをチェックしていたんですよ。
まぁお年玉もあることですし、それで買うんだったら、なんて思ってですね、どれどれ、その〇日に発売されるのは何特集のやつなんだ? と見てみますと――、
ミラーマン!
なぜよりによってミラーマン?!
いや、他にもウルトラマン○○とかそういうやついっぱい出るじゃん! 何でミラーマンなんだよ! パパもママも全然知らねぇやつだぞ!?
そんで〇日に意気揚々とTSUTAYAに行ったわけですけど、まぁ売ってないんですよ。何でかってここ、田舎なもので、発売日当日には手に入らないんですよ。1日は確実に遅れるんですよ。
息子、そういうのも覚えとけ、な?
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