令和2年9月
第560話 めちゃくちゃ吸い取りそうな顔してるのに
ちょっとね、わからないことがあって。
宇部さんはね、基本的にお馬鹿さんなのでわからないことがたくさんあるわけです。実家にいた頃はですね、割と身体が弱かったこともあり、何でも周りがやってくれてたというのも、理由のひとつとしてあるかもしれません。そんである程度大きくなったら「お嬢様じゃないんだから、自分でやりなさい!」とママンに怒られた思い出。いきなりそりゃないぜ。
だから、あの灯油をポリタンクから移す際のきゅぽきゅぽするやつも使い方が全くわかりませんでしたし、蛍光灯の取り換え方もわかりませんでしたし、カーステレオはもちろんのこと、エアコンの操作もわかりませんでした(これはいまでもちょっとわからない)。
料理もね、たぶん教えてとか言ったことないと思います。勝手に覚えたっていうとちょっと恰好良いですけど、チラチラ見てただけです。なので、ガスに元栓があるのも調理実習とかで知ったのかな、せんせー、火が点きませーん、みたいな。
とまぁそんなこんなな私でも、立派に社会に出て働いておりますし(立派に働けているかは甚だ疑問)、ちゃんとお母さんやってますんでね、アラフォーにしてようやっと人並の知識を身に着けたんじゃないかなとかね、思ったりするわけなんですけど、それでもまだまだわからないことがあるわけです。この世は謎に満ちているのです。
マイクロファイバーね。
あのふわふわしたやつ。
めっちゃ水を吸い取りまっせ、ってやつね。
昔、あの感じの素材を触るのが苦手、という友人がいました。何か皮膚に引っかかって嫌、って。昔は、「そんなことないんだけどなぁ」と思っていましたが、いまならわかります。確かに何か皮膚というか、指紋に引っかかる。肌が乾燥している時なんかは特に。
それはそうと、そう、マイクロファイバーなんですよ。
何かめっちゃ水を吸うってことでね、宇部家では100均で買ったマイクロファイバーのクロスで食器を拭いているのです。ちゃんとそれ用のやつね。
いや、この子、全然水吸い取らんのです。
普通のタオルの方が吸うぜ? マイクロのファイバー頑張れよお前。そんな「自分、めっちゃ水吸うように作られてますんで!」みたいな顔してるくせになんでだよ。
この子ね、乾くのはめちゃくちゃ早いんですよ。ぎゅって絞ってかけとくと、何かもうあっという間に乾く。
なのに、食器を拭かせると全然駄目。いつまでもいつまでも水気がある。
これには我が家の水回りの鬼こと食器洗い隊長の旦那も「このマイクロファイバーってやつは信用ならん」と言い出す始末。
これはもったいないけど買い替えかな、と思ったわけですけど、もしかしたらたまたまこのクロスが不良品だったかもしれないし……と、ちょっと検索してみたんですよね。
『マイクロファイバー 水吸わない』って。
出るわ出るわ、吸わない報告。なんだやっぱり吸わねぇんじゃん!
いや、吸わないというか、こちらの使い方の問題でしたね。
拭き取るんじゃなくて、吸い取らせる、っていう。だから、何ていうんでしょうかね、濡れたお皿の上にそっと押しあてる、みたいな?
いや、忙しい朝にそんな優雅なことやってられませんわ。
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