第466話 質量保存の法則
中学生になってからですかね、理科で「○○の法則」とか出て来たの。
小学生ではなかったと思うんですけど、まぁいずれにしても20年以上前の話ですからちょっと定かじゃないんですが。
何かもうとにかく恰好良かったんですよね、法則って言葉が。その頃には『マーフィーの法則』なんてやつも既にあったと思うんですけど、それは置いといて。
そう、それで、法則なんですよ。質量保存の法則。学生の頃は割と真面目な方だったのできちんと勉強はしてたんですけど、それでも理科はかなり苦手な方でしたので(計算分野と虫が出て来るところが嫌)、正直ちゃんとしたやつは朧気なんですが。
そんなわけで手っ取り早くWikipediaさんに聞いてみることにしました。
『化学反応の前と後で物質の総質量は変化しない』ですって。ああそうそう、そんな感じそんな感じ。そんな感じだったけ……? うん、まぁそんな感じでしたね。でも、こうも書いてありました。
『現在は自然の基本法則ではないことが知られている』
えっ? そうなんだ。
まぁその辺は良いです。
いや、これ私結構普段から使ってるんですよね。もちろん使い方は間違ってると思うんですけど。いや、何ていうんですかね、物質の総質量は変化しないわけですよ。例えば1㎏のものを食べたら1㎏増えるわけです。でも、1㎏分の○○○を出せばプラマイ0なんですよ。そんで、綿あめ、あれなんかはほぼほぼ0gみたいなものですから、あんなものどれだけ食べたってこちらの体重に変化はないわけです。
とまぁそんなことを考えたりしているわけなんですけど、食べ物以外で言いますと、あれですよ、あれ。
ダブルクリップ。
わかります? あの書類の束とかを留めるクリップですね。
宇部家では、このダブルクリップの小さいやつをたくさん使うのです。ありとあらゆるものをこれで留めております。使いかけの鰹節ですとか、お弁当用の冷凍食品、食べかけのポテトチップスなどなど。輪ゴムじゃないんですね、ウチはダブルクリップで留めます。
これがですね、よくなくなるんですよ。
おかしいと思いません?
捨てたりはしてないんですよ?
その使いかけを使い切ったらクリップをちゃんと外して、冷蔵庫の脇に貼り付けてるフックに戻してるんです。にも拘わらず。
そんなにね、常時すべてのクリップを使うほど使いかけの食材やら何やらがあるわけではないんですよ。
不思議じゃないです?
なくなるはずがないんですよ。
ほら、質量保存の法則ですよ。
捨ててないわけですから、なくなるはずはないんですよ。この地球上に存在するダブルクリップの数は変動していないはずなのに。
なのに、なくなるんです。これはミステリー。
毎回ね、
「おかしい。質量保存の法則(違う)が乱れてる……」とかめちゃくちゃ渋い顔で呟き(心の中で)つつ、また100均で買い足すんですよ。買い足せど、買い足せどなくなっていく、ダブルクリップ。
もしかしたら、宇部家では日常的に神隠しが起こっているのかもしれません。
それかもしくは、冷蔵庫とレンジ台の隙間に置いている棚の間に落ちているだけかもしれませんが。
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