第454話 娘とのおやすみ
最初に言っときます、今回はただの癒し回(私の)です。私がただただ娘とキャッキャウフフした、ってだけのお話です。ほら、最近娘の話してませんでしたしね?
私、基本的に平日に2日お休みがあるタイプなんですけど、そのうちの1日は娘の保育園をお休みにしているんですよ。もう一日は息子のお迎えデーです。
さて、先日はですね、とても天気がよろしくてですね。これなら自転車乗れるし、いっちょ公園にでも連れていくかな、なんてほんのり考えながらお洗濯をしていたんですが、台所を通過した時にあるものが目に入ったんですね。
息子の水筒でした。
夏が近くなると水筒に麦茶を入れて持たせるんですけど、いまコ□ナのどうたらこうたらで、水道から水を飲むことが禁止されているらしく、この時期からもう水筒持参なのです。とはいえ、ちょっと前まではまだ肌寒かったので、持たせたお茶も全然減ってなかったんですけど、さすがに今日は天気も良いし、それになんてったって、体育がある! こりゃあ絶対お届けせねば!!
「娘ちゃん、にいにの学校に忘れ物お届けにいかない?」
「いくいくー!!」
もうソッコーでテレビの電源オフりましたわ。娘ちゃん、おトイレいってくるねっ、ともうウッキウキですよ。そんな感じで娘ちゃんとの休日が始まったわけです。
「ねぇー、どぅーしてにいに、わすれものしちゃったのかなぁー?」
自転車の後ろで、明らかにニヤついている声が聞こえてきます。彼女はいつも何かと褒められている兄が珍しく失敗したので嬉しいのです。
「違うよ、にいにが忘れたんじゃないよ。パパとママがうっかりしてたんだよ」
「そうなんだぁ~」
一応は納得した素振りをしますが、おそらく、娘の望んだ答えではなかったのでしょう、その後も5分おきくらいに全く同じことを繰り返すのです。そして、その後で、
「いまごろにいに喉がカラカラになっちゃってるかもなぁ~」
とこれまたニヤついた声で言うのです。「早く娘ちゃんがお届けしてあげないとなぁ~」とも。いや、君は自転車の後ろにおさまってるだけだからな? 急いでるのはママだからな?
で、職員室の窓を外からコンコンして水筒を託しましてミッション完了ですわ。
その後は予定通り公園に行ってしばし遊ばせ(運良く娘しかいなかった)、お買い物をして帰宅。
ちなみに、その公園内でもなかなかに気になる名言は飛び出しました。
石段です。
公園の石段を上っているとき、娘がぽつりと言うわけですね。
「……わたし、この階段には思い出があるの」と。
おっ、こりゃあエッセイのネタになるかしら、とドキドキして「どんな?」と聞きますと。
「こないだ、○○組さん(娘のクラス)のみんなでのぼったのよネー」
それだけなのでした。
ここで転んだとか(危ない)、それを気になるあの子に助けてもらったとか(甘酸っぱい)、そんなことはひとつもなかったのです。ただ、園の皆でここに来て、のぼった、というだけのメモリーなのでした。うん、まぁ、思い出っちゃー思い出か。あんな桃井かおりさんみたいなテンションで言う台詞ではなかったんじゃないのかな、と思いつつ。
さて、兄の忘れ物を届けるなんて重大ミッションもこなし、公園でも遊び、お買い物のお手伝いもし(ゼリーの袋を持っただけ)、もりもりお昼寝もし、帰宅した兄とちょっと特別なおやつ(ヤンヤンつけボー)も食べた娘ちゃんはもう絶好調です。花マル満点のお休みだったのでしょう、いつもはだらだら食べて怒られる夕食の時もなんだかハリハリしています。お野菜(回鍋肉)もモグモグです。
そして娘は得意気に言うのです。
「こぉーんなにお野菜もりもり食べたら、明日のほっぺちゃん、もちもちになっちゃうんじゃない?」
確かにこれまで野菜をたくさん食べるとお肌に良いとか、美人になるとか、さんざん乗せてきたんですけども、この子の場合、最大のチャームポイントがほっぺですからね。お肌に良い=ほっぺがもちもち、美人=ほっぺが素敵な子だと思っているのでしょう。
むしろほっぺを育てるんならお肉なんじゃないのかとも思いましたが、そう思い込むことによって野菜でも何でも食べてくれるならしめたものです。
「なるわー。もちもちになるわー」
ええ、母はそう返しましたとも。
そんで、翌朝、意気揚々とほっぺの状態を聞いてくる娘が可愛いな、という話でした。
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