第426話 おいくつなの?

 元々仕事中はマスクで顔半分を覆っている私ですが、ここ最近はコロナの影響でマスクマンが増えてきましたね。仲間がいっぱい。ここ数日は緊急事態宣言も出ましたし、秋田の方でもちらほら感染者が増えたこともあり、マスクの需要が一層高まっております。が、やはり売ってない。ということで、布マスク人口も着々と増えているわけです。


 布マスク、華やかで良いですね。

 いや、これがここまで市民権を得た背景は笑えないやつなんですけど、もし、そういうのがなかったとして、花粉症の対策として布マスクが有効だ、みたいな感じで普及したとして、ですよ。使い捨てマスクメーカーとしては売り上げダウンかもしれないんですが、布マスクならごみも減るし、経済的だし、ってことで結構良いこと尽くしなんじゃないでしょうかね。


 布マスクを作るにあたり、型紙とか探してて『ベトナムマスク』っていうのを知ったんですよ。ベトナムの方はバイク人口が多いから(だったかな?)排気ガスとかすごいんで、コロナとか関係なく日常的に布マスクしてるらしくて、柄もカラフルなやつが人気だったりして可愛いんですよ。コロナが終息しても、花粉症対策とか、あとはまぁ風邪予防や埃アレルギーの人が普通に可愛い布マスクを使うようになっててほしいな、と。


 いや、今日はね、布マスクが可愛いって話をしたいんじゃないんですよ。こないだ結構ガタイのいい親方みたいな人が「これ奥さんが作ってくれたのかな?」みたいなチェック柄のマスクをしてて何か可愛かったとか、そういう話じゃないんですよ。


 マスクをするとですね、まぁ当たり前ですけど鼻から下が隠れるわけじゃないですか。目元しか露出しないわけですよ。たまに鼻が出ちゃってる人いますけど、鼻までちゃんと覆って覆って!


 いや、年齢不詳になりません? って話。

 私ね、これのお陰で結構若く見られるんです。いつまでも縋り付いていたい過去の栄光としては「えっ、25歳ですよね?」って言われたやつがあるくらい年齢をごまかせちゃうわけです。干支一回りくらいごまかせちゃう。


 でも世の中にはそんな小細工をしなくても年齢不詳な人っているわけです。

 

 行きつけのスーパーにですね、可愛い女の子がいるんです。高校生くらいで、すっごくはきはきしてて、もう全身からフレッシュオーラがみなぎってて。そこのスーパー、レジ担当の人は三角巾つけてるんですけど、その子、髪は二本のみつあみでね、もう『THE女学生』って感じで。おばちゃん、そういう子大好きだから。


 で、何年か前の3月ですよ。

 近所のホームセンターでその子を見かけたんですよ。親御さんと思しき方と一緒に衣装ケースとかお布団のセットとか買ってて。


 もしや、新生活?! えっ、あの子高校三年生だったんだ。この春から進学か就職かわからないけど、とにかくお引越しするんだ!  


 って思って、ちょっと寂しくてですね。もうあの子にレジ打ってもらえないのか、って。それくらい爽やかで丁寧で感じの良い子だったんです。でも、仕方ない。こればかりは仕方ない。巣立つ時が来たのです。ならば私はそれに(心の中で)エールをおくるのみ!!



 ……と思っていたらですね、5月になっても6月になっても彼女はスーパーにいるのです。


 おや? と。

 新生活、始まってない?

 いや、待て待て。もしかして、このスーパーに就職した、ということも考えられる。もしくは、近くの大学(県立大学の分校みたいなキャンバスがある)に進学したのかもしれない。で、バイトは辞めずに続けているのかもしれない。それはそれでこちらとしては全然ねぇ、もうむしろ嬉しいくらいで。


 と、思っていたんですけど。


 どうやら彼女、既に成人しているらしく。しかも二十歳とかそんなレベルでもなく。

 

 ちょ、そのフレッシュさで?!

 年齢不詳にもほどがある!!

 そのみつあみはただの趣味!?

 あなた絶対普通にお酒買えないでしょ!?


 っていうね。

 その若さが羨ましいやら恐ろしいやら、でした。

 そのスーパーでも割とベテランの位置にいるらしいのですが、それでもあのフレッシュさと丁寧さを出せる彼女のプロ意識に脱帽です。


 

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