第298話 かたっぽちゃんの謎

 かたっぽちゃん、って何かわかります?


 これね、靴下なんですよ。片方の靴下ね。

 子ども向けご長寿番組「おかあさんといっしょ」で流れてた『かたっぽちゃんとかたっぽちゃん』っていう歌に出てきます。


 歌詞を書くとJASR○Cが怖いので、ざっくりと内容だけお伝えしますと、


 かたっぽちゃんとかたっぽちゃんは一組の仲良し靴下です。

 でも、ケンカしちゃって離れ離れになって、

 だけど寂しくなっちゃってあちこち探して、見つけて仲直り、っていう。


 まぁ、素敵なお話ですよ。


 親としてもですね、靴下が片方ないとか、あれマジでイラっとするやつなので、かたっぽちゃんたちは一刻も早く仲直りしていただきたいというか、そもそもお前達、ケンカなんてしてんじゃねぇぞ、と。


 で、今年の2月の話なんですけど、我が家にですね、謎の『かたっぽちゃん』が現れたのです。

 柄は、フェアアイルっていうんですかね、あのセーターとかによくある感じの雪の結晶のようだったり三角が並んでるようだったり……って感じのやつです。


 私、この柄が冬っぽくて大好きでして(好きな割に説明がへたくそすぎる)、靴下でそういう柄を見つけるとつい買ってしまうんですね。で、その謎のかたっぽちゃんの色はグレー、旦那に買ってきた靴下に瓜二つでした。


 となると、当然、旦那の靴下じゃん? ってなるじゃないですか。


 ところが、大きさが全然違う。

 どう見てもレディース。

 しかし、私はそんな靴下を持っていないわけです。


 で、私今年の2月に北海道に帰りましてね、家族全員で。もしかしたら、母親の靴下を持ってきちゃったんじゃないか、って、そんな結論に至ったわけです。よくあるじゃないですか、自分のタンスに母親のパンツが入ってたりとかね。そういうノリで。

 だからまぁ、何かの折に送ってやろうとか、そんな風に思って放置していたんですよ。



 さて、時は流れ。

 息子は小学生になり、洗濯物が飛躍的に増えたんですね。主に体育着と給食エプロンなんですけど。飛躍的っていうほど飛躍してませんけど。

 そんでウチの坊ちゃん、アーティスト過ぎるものですから、図工の授業になるともう服がえらいことになったりして、体育でもないのに体育着にお着替えしてたりするわけですよ。あって良かった体育着。そんで、次の日は次の日で体育があったりして。

 そしたらもうその日の晩に洗濯をするわけなんですが、この時期はやはり乾きづらいわけです。そういう時に限って娘は娘でお昼寝布団汚しちゃったり(鼻血)して、お前達いいいいいいい! って思いつつ、旦那が全部まとめてコインランドリーの乾燥機にぶち込みに行くわけです。お前じゃないのかよ、ってね。私は無理ですよ。徒歩ですもん(甘え)。


 で。


 籠の中からほっかほかに乾いた体育着やら、お昼寝布団を取り出すわけなんですけど、その中には、それ以外の洗濯ものも入ってましてね。シャツとかパンツとかもこの際だから一緒に、って。


 そしたらね。


 息子、こんな靴下持ってたかな? っていう小さい靴下が入ってたんです。

 いや、どう見てもこれはデザイン的に私の靴下。だけど、さすがの私でも一目で小さいとわかるサイズ。



 あっ! 縮んだんじゃない?!

 靴下って乾燥機にかけると縮むんじゃない!? って。


 そう、つまり、あの謎のかたっぽちゃんはやっぱり旦那の靴下だったのです!

 なぜか片方だけコインランドリーへ旅立ってしまっていたかたっぽちゃんだったのです!! ようやく会えたね!


 まぁ、靴下ですから。

 伸縮しますからね。

 多少丈は短くなりましたが、普通に履いてます。


 私なんかは逆に大きかった靴下がめちゃくちゃフィットして快適です。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る