第188話 手が出しにくい

 子ども達を見てると思うんですけど、ほんと、チャレンジ精神がすごいなって。


 失敗を恐れない。

 ていうか、そもそも『失敗』が何かわかってない。

 恥ずかしいことだって認識がないわけです。いや、失敗を恥ずかしいことって認定するのもどうかと思うんですけど、でも、大人になると失敗したら何か恥ずかしいじゃないですか。恥ずかしいだけで済まない場合もありますし。


 だから、何か新しいことに挑戦しようとした時に、「上手くやれないかも」って怖くなった瞬間からもう大人なんですよ。気持ちがね。そういう意味では私はかなり早い段階から大人だったように思います。


 真面目でね、そこそこ勉強も出来る方でね、何ていうか『何でもそつなくこなすキャラ』あるいは『何でも知ってる姐さん』みたいなポジションで。


 新しい環境に移る度、キャラ変しようと画策するんですけど、これがどうにも上手くいかない。ついつい頑張りすぎちゃう。


 バイトでも正社員になっても、3日くらいすると「何か宇部さんってもう3年くらいいる感じの人だよね」って言われちゃう。雰囲気だけはいっちょ前ってやつです。それに見合う自分にならないとって、必死ですよ。


 だから、とにかく失敗が怖い。

 何でも『初めて』が怖い。

 初めて見る映画や小説も、オチが読めないと怖い。でもこれは失敗するもしないも私の責任じゃないので、少しは気が楽。

 ネタバレが全然平気なのも、もしかしたらそういうところが関係しているのかもしれません。


 そんな私がいま、ちょっと怖くて手が出せないでいるもの。好きなんだけど、何かこう……なかなか勇気が出ないやつの話をしようと思いまして。

 相変わらず導入が長いなおい。



 コーンバターですよ。


 怖くないですか。あれ、何のために存在してるんでしょう。いや、食べるためなんですけど、そうじゃなくてね。


 あれ、どういう位置付けの食べ物なんでしょうか。ご飯のおかず? お酒のおつまみ?

 箸で一粒ずつちまちま食べるもの? それとも、スプーンとかでガッと行くべき? 


 もうそれがわからなすぎて、頼めない。

 北海道民なのに、コーンバターが食べられないのです。

 それだけではありません。

 そもそもトウモロコシが苦手なんです。味は好きなんですけどね。味噌ラーメンに入ってたりするのも最高に好きなんですけど。あれもあれでどう考えたって麺に絡まないじゃないですか。だからこう、穴の開いたレンゲみたいなやつで食べることになるわけじゃないですか。そういうところも何か不憫というか。お前、麺に絡まないのに……! って。


 トウモロコシもあのガリガリかじるのが苦手というか、あれ絶対きれいに食べられないですよね? 北川景子でも無理でしょ? 何かもう汚い感じになるし歯に挟まってどえらいことになるでしょ? あれ食べた直後ににっこり笑顔出来る? 北川景子でも無理でしょ? 私はどうしてそこまで北川景子にこだわるのか。


 何も考えずにトウモロコシを食い散らかしてニコニコ笑ってたあの頃が懐かしいとうか、トウモロコシがあちこちに挟まりまくりつつもフルスマイルを向けてくれる子ども達って、ほんとすげぇなって、そういう話でした。


 そういう話だったんだ?!

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