第317話交渉
「楽しい一時だった。これ以上はやり辛くなるだけだ。始めようか」
「どうしてもやらなくてはだめですか?」
「お前が全てを諦めてこちら側になると言うなら考えない事もない」
「完全には無理です。互いの妥協点を探しませんか? 可能であれば貴方とは殺し合いたくない」
「お前はここを捨てれるのか? そう簡単ではあるまい、人間成果を簡単には捨てれん。それに蒸気機関モドキは破壊は絶対だ。その銃もな」
「水車やそれを動力とした物は許す、そう考えて問題ないのでしょうか?」
問題だが既に手遅れだ。この場合は諦める他無い。見た者全てを殺す程非道にはなれない。
「ポンプや農法なんかも仕方ない」
「では、諦めるとしましょう。幸い、銃は私の趣味で作っただけですので出回ってないですし。機関車も部品ごとに作った者もいますが、蒸気炉内のシステムは私無しでは作れません」
「随分簡単に諦めるのだな。時間稼ぎなら無駄だぞ?」
「完全に諦めましたとも、説得出来そうに無い場合は交渉して少しでも残せる物を残し諦めろ。これが神託ですし、戦えば絶対に勝てないとも言われてます。自分の命は無駄にはしませんよ」
真っ直ぐに俺の目を見てアキラは言う。
「貴方は人の幸せ自体は否定しない。殺戮も好まない、であれば貴方と共に進むのもありでしょう?まぁ命乞いには代わらないんですがね。格好くらいつけますとも」
こいつを殺すのは多分可能。だが、神の一柱を敵に回す事になる。それは出きれば避けたい。
「今はお前を信じよう。機関車モドキは破壊するし、資料なんかも破棄させて貰う。正直に差し出せ、嘘はここを定期的に見に来ればわかる」
「全部了解だよ。ただ一つお願いがある。私はここにはいられない。破壊された物をまた作らないなんてここにいれば無理だからね。その辺の面倒は見てくれるのだろう?可能ならその精霊とかにも会ってみたい」
「ここから連れ出して他の大陸に行くのは決定事項だから問題ない。精霊は俺がお前を心底信頼出来た時に会わせる」
アキラは楽しそうに笑う。
「それはともかくだ。まずお前には死んで貰う」
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