第234話謁見の間での召集
伯爵への書状、それから伯爵を伴っての謁見。とんとん拍子に事は進んだ。
厳かな謁見の間、まるで像であるかのように微動だにしない近衛兵。まさに王道と言うに相応しい。
「さて賽の字よ、何用でこの場を所望した」
「少しばかり重要な話をしようかと。人払いなど必要なければこのまま話してしまいますが」
別に知られてどうという事は無いが、向こうは知らん。
王は少し目を瞑り思案すると。
「3位まで残り後は外で待機せよ。伯爵は残れ」
像がまるで動き出したかのように静から動へ滑らかに、迅速に動き出す。とんでもない錬度なのだろう。俺にはわからないがな。
「これで良いだろう。賽の字よ話すが良い」
「それでは、俺は王に引き合わせたい人間がいる。可能な限り早く。その人物は、今回の教国排除の立役者。名をルイ、俺に権限が無いから話さないがこの大陸について王と話がしたいそうだ」
「ただの商人ではないとは思ってたけど、予想以上の大物だったね君は」
ある意味大物だろうよ。視点を変えれば大罪人だしな。
「うむ、謁見の件は理解した。賽の字の事も信頼しておるし、なにより恩がある。早くと言ったな?最短でいつそれは成せる?」
これは出来れば秘密にしたかったが、ルイの指示だ仕方ない。
「今すぐだ。無論魔術の行使を認めて貰えればという前提が付く」
「面白い、やって見せよ」
「準備する。しばし待て」念話符を起動しルイに連絡を取る。
(準備は整った。今から転移符を設置する。すぐに来い)
(早かったね。すぐ行くとも)
俺は札を床に貼り離れると、その場からルイが現れる。近衛兵は剣を抜き構え、王はそれを制する。
「やめよ。客人すまぬな、こやつらは初めて見る客人の登場に驚いただけだ。悪気は無い許してやってくれ」
王は頭を下げる。
「いえいえ、悪いのはこちらの方です。いきなり押しかけてきた訳ですから」
ショタにしか見えないこいつにこの態度。人を見る目はあるようだ。
「早速だけど用件を言わせて貰うと、近いうちに隣国及び教国は食糧難によりここに侵攻しなければならない状態になる。そこで、こちらと同盟を組まないだろうか?そちらに提示できるメリットは物資と戦力。望むのは教国の根絶。別に信仰の撲滅は求めてないのは理解して欲しい。あくまであの宗教の撲滅です」
「こちらばかり良い思いをするな」いぶかしむ王。伯爵も思案気だ。
「ダイス、こちらのメリット説明して」
丸投げかよ。
「王よ、何の為に俺はこの札をこの力を開示したのでしょう?これは札を貼った場所と別の札の場所を繋ぐもの。最早大陸間の距離など我々には無いに等しい。であれば信頼できる王が治める地で商いをしたい。ふざけた宗教、我大陸で暴虐を尽くした者等排除するのは当然。その先に利益が我々にはある」
全く以って出任せである。本当に利益を求めるならこんな余計な事をせず別の場所を開拓した方が早い。
「分かった。ルイ殿と二人で話しがしたい。構わぬか?」
俺達は言われるがまま、部屋の外へ出た。
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