第79話成果と食道楽

 あれからやってる事はほぼ変わらない。強いて違いが有るなら、メンバーのみの修練の時は銃では無く、魔術を使って立ち回るようにしている。



魔術師であるスロートとレイナは逆に身体強化して、接近戦をした。ミルは付与魔術、身体強化の二つを課題として修練をしている。



 無論リュートが居る時は元の分担に戻り、俺が前衛になっている。


 こうして40日が過ぎた。


 成果だが



 スロートが棍術と付与魔術の会得。



 ミルは、付与魔術と探知魔術を会得している。



 レイナは、付与魔術のレベルが大幅に上がり、剣術を会得した。




 で、俺なのだが・・・思考の恩恵をようやく実感できる結果になった。



 一番の成果は、名前こそ良く分からないが、空中を足場にできる魔術。仮に空歩と呼ぼう、これを取得できた。利点を挙げればきりが無いくらいの便利な魔術だ。



 因みに、飛行する手段を人類は持っていないらしい。



 後は結界展開する魔術、これは壁を展開する程度の魔術だが、魔力消費をあまり気にしなくて良い現在は中々に硬い防壁として機能している。



 練成師のスキルだが、ここで手に入れた知識を生かすと、気体を取り出すことが可能になった。



 後は既存の攻撃魔術、火が主ではあるが、実用レベルで使えるようになった。



 もう、半月もしないで、この村を旅立つ。まだまだ、力不足である事は間違いないが、この心地よい場所に長居すると、こたつよろしく、ダメになってしまいそうだ。



 既に通達はしているが、そろそろ、メンバーには荷造りの準備を始めさせたほうが良い、特にミル。あいつはやってなさそうだ。




 その頃ガウは、目の前の上司(食道楽)を見ながら心底疲れていた。




「本当に君は、良くやってくれた。甘味調味料等は、南部諸島連合からの輸入以外、手に入れる事は不可能だった。それをこんなに近くで手に入れられるとは、素晴しい実績だ」



 目の前の黙っていれば、威厳が有りそうな人物は、早口でまくし立てる。興奮状態と言って良い。しかも、その場合、話が長いのだ。



 どれだけ話を聞いただろうか?・・・ん? 待て、今とんでもない事を言ってなかったか?



「私もダイス君と直接話をしてみたくなった。彼は警戒心が非常に高い子だったね。ガウ紹介状じゃないけど、一筆頼む」



「ですが」



「問題ない、君が危惧するような事はしないさ、精々料理のレシピを売ってくれと頼む位までで押さえるよ。嫌われたくは無いからね」



 ああ、これは止めても駄目なやつだ。ダイス君すまん。




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