Happy birthday to...
膕館啻
☆Happy birthday to...
外ではザアザアとクラッカーのような雨が騒いでいた。ピカピカ、ゴロゴロとイルミネーションが夜空に飾られる。
目の前にはべったりといっぱい塗ったクリームのケーキ。それにロウソクをたくさん突き立てた。君はいつもの困った顔で、ちょっと多すぎるけどねと笑う。
マッチで1本1本火を点けていく。今この部屋を照らしているのは、ゆらゆらと揺れるロウソクだけだ。少しあっつい。
苺は邪魔だから潰してしまおう。チョコレートのプレートもいらないから捨ててしまおう。ほら、綺麗になった。
今日は私の誕生日。私が生まれた日。7年前のこの日に、この世に出てきたらしい。この日を嬉しく思っているのは君だけ。祝ってくれたのは君だけだ。7回目で初めて君が祝ってくれた。
苺を捨ててしまったから飾りが足りなくなってしまった。そうだ。同じ赤を乗せれば綺麗になる。赤でデコレーション。とっても可愛くなった。私の誕生日ケーキに相応しい。
――それで、私は何をお祝いしているんだろう?
なんのためにケーキがあるのだろう?
私はどうしてここにいるのだろう?
君が言った。
「誕生日おめでとう」
その言葉に全部分かった。だから私は君にこう言う。
「誕生日おめでとう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます