第60話
ダンジョンに到着したオレは真っ直ぐに第1層のボス部屋に向かった。
復活していたギガントビートルを倒し、第2層へ。
第2層でも寄り道せず階層ボスの部屋に向かうが、ヘルスコーピオンはまだリポップしていなかったため、ボス部屋を素通りする形で第3階層へと歩を進めた。
第3層も同じようにデスサイズの居ないボス部屋をスルー。
至極あっさりと第4層まで到達していた。
ここでも兄達が暴れまわっていたこともあって、オークやジャイアントシカーダ、ジャイアントバタフライなどの数は少なく、容易に奥に進んで来たが、さすがに時間が足りなかったのか、爬虫類型モンスターの数はそこまで減らされていなかった。
まぁ、ジャイアントゲッコや、ジャイアントリザードなどの奇襲も、有ると分かっていれば、そこまで厄介なものでもないし、特にオーガから得た大力のブレストプレートの性能が破格なので、昨日は手を焼いたカメの甲羅も、ブスブスと刺し貫くことが出来た。
若干、そうした装備品やドーピングで向上した能力に振り回されたような気もするが、徐々に馴染んで来てはいるので、ここにモンスターが残っていたのは、正直ありがたかった。
そう言えば、兄達の報告にも遭遇の情報は無かったのだが、ここまでにアンデッドモンスターの影は無い。
さすがダントツの不人気ダンジョン……アンデッドを出したくとも、そもそも素体になるもの(先輩探索者の遺体)が無いのだろうな。
少なくない数の戦闘をこなし、かなり装備品やドーピングで向上した能力にも慣れて来たところで、満を持して階層ボスの部屋の扉を開ける。
第4層のボス……
取り巻きはグラトンコンストリクター10匹と、ジャイアントタートルが4匹。
正面にカメと大ダコ。側面や天井にヘビ。
石距がアフリカ象並みにデカいので、イノシシサイズのジャイアントタートルでも小さく見える。
遊撃のグラトンコンストリクターはトリッキーに動き回っているし、正面のカメと大ダコは歩調を合わせて、じわじわと迫ってくる。
これは追い詰められたら厄介だ。
まずはニョロニョロと動き回るヘビを減らしたいところだ。
天井にいるものは仕方ないが、壁面や地面にいるヤツを根気強く排除していく。
動き回るオレに対し、大ダコとカメの本隊は僅かに速度を上げ、どうにか離されないようにと追随してくるが……まぁ何しろ遅い。
元になった動物を考えると、それでも速いのかもしれないが、蒼空のレガースを得たオレの速度からすれば、まさにカメの歩みだった。
だが、敵も
こうなると取り巻きだけを、先に相手どるわけにもいかない。
だが、だからといって真っ正直に本隊と正対しなければいけないわけでもないだろう。
むしろ本隊の背面に向かうように回り込むように動く……と、まんまと誘いに乗ったヘビ達がオレの進路を遮らんと、天井から飛び掛かって来る。
丸太の様なヘビが天井から襲い掛かって来る光景は、ちょっとした悪夢の様な光景だが、冷静にタイミングを見極め、じっくり待ち構えて頭部を鎗で貫いていく。
気付くと、残る敵は開戦から無為に動き回っていた4匹のカメとボスダコ、そして残り2匹まで数を減らしたヘビだけだった。
あとは正面から攻めるにしても、側面や後背から突き掛かるにしても、こちらの裁量次第といったところなのだが、問題になるのは
真っ正面から行けば、蛇の頭が吐き出す腐食の
捕まってしまえば、大蛇の顎で瞬時に噛み殺されてしまうことになるだろう。
たとえ捕まらなくとも、当たり所が悪ければ、違う意味でも致命的だ。
太い足の中身は硬質な筋肉だし、ムチとして考えれば規格外の太さだが、文字通り手足なのだから、自由自在な挙動で獲物を狙ってくる。
タコ特有のヌメヌメとした粘液は無く、表面が硬い蛇の鱗状なので、下手したら少し命中するだけでも、あっという間に皮膚を
グラトンコンストリクターも天井から地面に降りて来て、更に陣形を分厚いものにした。
暫時お互いに相手の出方を伺う態勢……先に動くのは……オレだ。
瘴気はさすがに喰らうわけにもいかない。
タコ足を1本ずつ切るにも、突くのが本分の鎗にそれを求めるのは無理だ。
右側面から攻めると見せ掛けるべく突進し、急ブレーキから背面に素早く回り、更にボスダコを狙うような動きを囮にタコ足を掻い潜り、カメを一撃で
そして追撃の刺突を、
去り際、急速に向きを変えた
その後も瘴気の晴れるのを待って突撃、退避を繰り返し、どうにかこうにか、取り巻きどもは全て排除することに成功したし、ボスダコにも鎗を幾度となく喰らわせているが……サイズがデカいだけあって、なかなか決着がつかない。
一気に決めようにも、どうしたって瘴気が邪魔で、完全に長期戦の様相を呈している。
とかく相性が悪い……やはり月牙(槍や矛の側面に付ける刃……呂布の方天画戟をイメージして貰うと分かりやすいと思う)でも、柏木氏に依頼して付けて貰おうかなぁ。
低位のスタミナポーションと、中級回復ポーションを腰のポーションストッカーから取り出し、それらを一気に飲み干しながら、そんな
今は泣き言を言っても仕方ないのだ。
……と、ここでオレは信じられないものを目にすることになる。
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