3.鉄塔からのシルエットヲ

 帯広おびひろの月明かりに照され

 時の短針たんしん長針ちょうしんがkissヲ覚える

 すると銀色の鉄塔はそびえ立つ




 表面硬そうにキラキラと

 





 限りなき草原が拡がりを見せていて

 ここは明日へ昨日へと繋がるんだよと言わんばかりだ。

 




 今宵こよい、少し早めではあるが

 小夏しょうかの夜風と共に


 虫達のコーラスヲ

 流そうか




 誰が為に

 立つのでしょう?



 そう言ってるみたい…

 そう聞こえたらイイナ

 願いヲ込めて…


 


 アッ !! 今、人影が見えました。

 目映まばゆいいばかりの銀色をした土台の辺りです。


 この鉄塔てっとうを見回すと

 一番太い横柱にシルエットがあります。


 それが【ナイテ音色ネイロ】だった。




 音色ネイロの腰には漆黒しっこくの袋がげられています。

 サファイアが付いているのが印象的です。



 その袋の中には、幾つものボルト、ナットが入っています。


 まるで宝石の様でした。



 外側のホックには細めの工具こうぐ


 <カチャカチャ カチャカチャ> と


 音を鳴らして

 差し込まれています。



 右手を見ると保護ほごほどこした

 革製の作業グローブが、肩付近かたふきんまで

 スッポリとおおわれているのですが

 やはり手の甲にはサファイアが付いています。


 どうやらトレードマークなのでしょう



 因みに音色は靴紐を結んでいる様子でした。


 「ふぅ~今日も進めたわ良かった。」



 音色のほほには

 薄い油が付いていた。



 夜空の向こう側にまで

 届いてしまいそうな

 鉄塔てっとう




 本当に造ってしまったの?




 闇夜やみよの問いかけに

 胸が締め付けられる

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