第78話 ありふれた状態

「 ありふれた状態 」


 ありふれた状態になろうなろうとすること

からいつも抵抗していた。きみを好きになる

のもそう。それはきっとありふれた状態に対

して抵抗しているんだと思う。

 でもね。好きになろうと思って好きになっ

ているんじゃ、ない。好きになってしまった

から、というのが、ボクのある姿であること

逆戻りできないこと。

 好きになったことに蓋をして違うひとを好

きになってなんかじゃなく。好きになったこ

とに逆はないってことさ。結果はどうあれ。

 異論!あなたは、そのつもりでいるけれど

皆んなが好きになってしまったら、その皆ん

なはありふれた状態なんでしょ!とは、悪魔

いや、駄天使のささやき。そう、ボクは、あ

りふれたことから逃れたくて、ありふれたこ

とをしてしまっている?

 ふふふ。なんだかね。でも、ね。止められ

なかったことだけは、確か。それほどまでに

これは難しい。分厚い本には、エン○○ピー

なんて書いてあるらしいけれど、これはお偉

い学者様のことなんかじゃなく、どうしよう

もないひとたちの、万国共通する、素晴しい

法則?いや素質?生まれながらの?なんでし

ょう?ね。

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