第45話 ミルク(エントロピー)

「 ミルク(エントロピー) 」


アイスコーヒーに混ぜてごらん

いつでもいいけど冷たいうちがコントラスト

 がいい

コントラストね。

焦げ茶の世界に白いベールがかかっていく

白が毛細血管のように垂れさがっていく

毛細血管なんて見たことないんでしょう。

血管が垂れさがるなんて不健康

焦げ茶に喰い込んでいく

あなたの眼はマクロでしょう。

解像度のことかな

せっかく光りの波長は短いのにさ。

焦げ茶と白がうまく混ざって薄いグラデーシ

 ョンがはじまるはじまる

優雅ですね。

だから分からなくなる

本質がわからなくなる

でもしつこいしやめない

あなたはそうやって生きてきた。

ほんとうは焦げ茶の粒と白の粒が混ざって混

 ざり具合いで流れが決まっていくという

フィルムを戻そうとしても白しかない世界に

 は戻れない

過去ってこと?

広がったミルクは戻らない

広がってしまったということ

そうやって色々なことが続いてきたし後戻り

 しないしとても従順だったってこと

勝手に決めないで欲しい。

いくら頑張っていてもいつか混ざりあってい

 ってしまう

混ざりあいだしたら戻らない?

なんで何もかもがどこかしら方向があって同

 じようにスタートしていくのかしら。

やっぱり外へは出られないのね。


 


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