第5部 「東西学園闘争編」


33話 浪速の” ドッチボール “大会



ハイジャック事件が解決し、“スカイフェニックス810便“ は無事に大阪府 ”間酉玉祭空港“ に着陸した。緊張と恐怖に束縛された地獄のような空間から解放された乗客達が、安心した様子でぞろぞろと乗降口から降りていく。そして聖川東学園選手団一同も、各自荷物を受け取ってロビーへと向かった。


担任はその場に1人でも欠けていないか再び点呼を取る。実に入念だ。


そして全員いることが確認できたので、早速一同は空港のエントランスを抜けて外に出た。 そして、




「大阪だーっ!!」


初めての大阪の空気を吸って大興奮のサファイ。 彼だけではなく、この中の大多数が初めての来訪のようだ。


「おぅ、待ってたでー」


聖川東選手団一同を真っ先に出迎えたのは、火天焔学園生徒会長にして朝霧財閥の御曹司、朝霧雄馬だった。


「あぁ、待たせたな!」


桐生が雄馬の歓迎に応えた。


「ようこそ、天下の台所・大阪へ。せっかくやからお前らに観光の時間を設けてやりたんやが、“尺”の関係で無理っぽいんや。すまん!」


ここで無意識にメタ発言をぶちかましてしまう雄馬。


「しゃく?」


「いやいやいや、なんでもないんやでー!ほな、大会はもうすぐ始まるからあのバスに乗りや」



桐生が首を傾げたが、うまく誤魔化す雄馬。


選手団が雄馬に案内されたのは、間酉玉祭空港ターミナルの前にあるロータリーだった。その一角に『パティキュラー・スタジオ・ジャポーネ(PSJ)』行きのバスが停留していた。


選手団一同はそのバスに乗り込む。そして、1分くらい経った後、バスは目的地に向かって停留所を出発した。




・・雄馬は彼らを見送った後、自身が普段から従えている朝霧家の使用人に電話をかける。


「聖川東学園の選手たちは無事会場に届けた。今すぐヘリを出しや。ワイも奴らに続いてPSJに向かう。火天焔学園の選手団はすでにあっちで待機中や」


『了解しました。しかし雄馬ぼっちゃま。ぼっちゃまには ”アレ“ があるから、わざわざヘリを出す必要はないでしょう?』


「 “アレ”? ・・ああ、まだ出す必要はないで。“アレ”は後々大暴れさせる予定やから、まだ温存しときや」


『了解です。フル充電しておきましょう』


「ああ」


『いよいよですな、ぼっちゃま。朝霧大雲総帥も、今か今かとずっとこの日を待ち侘びておりましたぞ』


「せやな。父をがっかりさせないためにも ”アレ”の手入れ、しっかり頼むで。聖川東学園は我々が必ずや手に入れてみせる!」


『お任せを』




・・なんだかんだで、聖川東学園選手団はPSJに着いた。


『パティキュラー・スタジオ・ジャポーネ』、通称『PSJ』は、関西で最大にして日本一の人気を誇るテーマパークだ。敷地内は、来場者用入り口がある最南端の『ヤヨイエリア』、最北端にある『ナラエリア』、北東から南東にかけて縦長に位置する『ヘイアンエリア』、南西にある『カマクラエリア』、西側の大半を占める『ムロマチエリア』、そして中央に位置するテーマパーク最大の『エドエリア』という、6つの区画に分けられている。

ちなみに普段休日は多くの客で混み合うが、この日は火天焔学園の特別貸切ということで一般来場者は立ち入り禁止となっている。


試合が行われるパーク全体を観測できるように、多角監視カメラが搭載された飛行船が各エリアの上空に一機漂っている。他にも、パーク内のあちらこちらに監視カメラが設置されている。カメラに映った映像は6エリアそれぞれの飛行船に1人乗っている審判が確認する、という仕組みだ。これなら公正な試合を行うことが出来る。



聖川東学園及び火天焔学園の両選手団の面々は、パークの入り口前に集合し、まるで高校野球の試合前に行う挨拶をする時のように12人それぞれが横一列に並んでお互いに向き合っていた。



「ドッジボールかぁ、去年の球技大会以来だなぁ」


桐生が頭の後ろに腕を組んで言った。


それを偶然耳にした対戦相手の朝霧雄馬が反応する。



「んん?オマエ、何か勘違いしとらんか?」


「は?勘違いって?」


桐生と、朝霧の言葉を聞いていた他の川東学園選手団までもが全員同時に首を傾げる。


そして雄馬が続けた。


「この大会の正式名称は、“浪速のドッチボール大会” 、やで?」


「うん知ってるよ。”浪速のドッジボール大会“ でしょ。だから?」




さて、ここで間違い探しだよ!上と下で間違いが一つだけ隠れてるからみんなも探してみてね!!


1. 浪速のドッチボール大会

2. 浪速のドッジボール大会













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