第17話 硬貨探索者の契約
再び教室の真ん中に向かった圭は口を開く。
「このゲームは五点先取とする。文句はないな?」
早速話し合いで決めた数値を報告。
王側の人たちは特に反応を見せることはなかった。長井は口に軽く手を当て少しブツブツと考え込む。が、やがて顔を上げる。
「まぁ、いいかな、それで」
これによりゲームで決めるべき事の基本は決まった。
「なら、後はエンゲームの契約だな。それぞれゲームをする代表者、前にでろ。そしてスマホを出せ。あと、田村……お前もだな」
真の王に言われるまま、森は一歩出てスマホを取り出した。また、ゲームを行う三人が向かい合う。しかし、今回は田村も存在する。
「あらかじめ聞いておきますけど、わたしは勝利条件を飲む以外の契約はいっさいしませんからね」
「そんなことは言われなくても分かってる。まずはさっきの契約を変更だ」
真の王の指示のもと、影武者がスマホをどんどん操作していった。そして契約条文が提示される。
『硬貨探索者ゲーム契約』
第一条 ザ・キング(以下甲と言う。)、TOSHI(以下乙と言う。)、543レイン(以下丙と言う。)はこれからゲームを行う。
2.この三人をまとめて以下、プレイヤーと言う。
第二条 プレイヤーは各契約者の勝敗順位に基づき、以下の要求に合わせた契約を結ぶ。一位は二位と三位に対して、二位は三位のモノに対して以下の要求を出せるものとする。
1.甲は、乙に対して打倒王という目的を掲げることを禁止する。丙に対してレクス(以下丁と言う。)が、ゲーム終了後行う甲と丙の契約に合わせて参加し、解放者の契約から本人解除の意思を示す。
2.乙は、甲に対してグループ:キングダムの支配から、乙が指定したアカウント一つを解放する。丙に対して、乙がもつ打倒王という目的に対し、邪魔になるような行為は禁止とする。
3.丙は、甲に対して甲自身の仮面を外し、正体を教える。乙に対して乙本人が持っている目的を話す。
第三条 プレイヤーはゲームの中、第一フェイズの十分間でコインを隠すことになるが、この隠す場所はこの教室の範囲内とする。
2.ただし、第一フェイズ中に、自分のコインを自分以外の人物に渡すようなことをしてはならない。
2.第一フェイズ終了時、コインを隠した場所が分からなくなってしまったプレイヤーはその場でそのことを申告しなければならない。そのプレイヤーはその回戦中、ゲームの参加権を失う。
第四条 第二フェイズは質問タイムと指定タイムを繰り返し行われる。質問は各プレイヤーが相手プレイヤーに対して一つずつのみ。そして指定タイムとセットとなる。
2.それを繰り返すことになる。
第五条 プレイヤーは第二フェイズの質問タイムで行われる質問と、指定タイムでの答えには、嘘なく答えなければならない。
2.上記の答えに必要なセリフは「YES」か「No」の意味をもつ言葉だけである。それ以上の回答は任意とする。
3.質問に対するこの効力は、内容がゲームの進行に関係することのみに限定される。ゲームとは明らかに関係がないことについて答える義務はない。
第六条 回答フェイズにて答えとなる場所は、第一フェイズ終了時に自身が隠したコインが存在する場所である。相手プレイヤーが指定したマスの周り含めた九マスの中に隠したマスが存在する場合、正解とする。
「これが基本の契約となる。各自、異論はないな?」
圭は森のスマホを後ろから覗き込み、内容をチェック。まぁ、基本的にゲームの説明で言われていた指示は契約でしっかり強制されている。田村がゲームに置いて拘束されていることもない。
であれば、何か罠や抜け穴がないか、こっちから出せる条件はないか、ということにシフトしていく。
しかし、どうするか……、イカサマを禁止にする契約でもするか?
いや、それは無意味だ。肝心のプレイヤー外の人物は結局し放題だ。なにより、既にコントラクトで十分強制されている。このルールに反していない行為ならそれはもはや、イカサマではなくれっきとした策とされて終わり……。
流石に監視カメラなどは厄介かも知れない。だが、監視カメラでバレるような隠し方をしていれば、そもそもプレイヤー以外の人物がウロウロしまくるこのゲームでは負ける。
しかし、想像はしていたがやはり、契約しない部外者が存在するというのは、あまりに自由でなんでも出来すぎる。まさに何でもアリという風潮が出てくるな。
だが、このゲームの肝の一つ。制限もできない。
そもそも人数差という絶対ハンデを既にもらっている状況で、下手な提案を呑んでくれるとも……。
「一つ提案したいのですが、よろしいでしょうか?」
そんな中、すっと手を挙げたのは田村だった。
真の王は田村を一瞥し告げる。
「言ってみろ」
「契約で結ぶ必要まで貼りませんが、一回戦ごとに作戦会議を行えるタイミングをいただけませんか? 時間制限は設けていただいて構いません。まずは一回戦を真面目る前に一つを」
「……十分程度なら構わないが……お前は?」
「それはいい提案だと思う。受けない理由はないね」
真の王と長井が首を縦に振る。すると、それを確認した田村がさらに続けてきた。
「では、このままもう少し提案をさせてください。今度は契約内容です」
「……何?」
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