第10話 事前対策

 あれから、二週間後までにできることを模索し、LIONを通じて情報などを解放者間で共有しあっていた。


『とりあえず思いつくこととすれば、指定する場所をどこかの教室にして、隠しカメラをいくつか設置しておくこと……。


 相手がイカサマを制限させてこない限り、それを利用して何かしら有利にゲームを運べる可能性はあると思う。


 スマホとカメラを連動させておいて、そこからチェックできるようにすればいけるかな?』


 森からの提案は圭も真っ先に思いついていたものだ。幸い、ゲームに必要なのは二人。ゲームに参加するのが森と圭だと現在、思っている。

 なら、次郎には別の場所でカメラを監視してもらって、無線イヤホンから伝えてもらえる。


『だが、それだけでは心もとないのも事実だ。

 契約上、一時間前には敵に場所を知らせなければならず、その間にカメラを取られる可能性はかなり高いと見ていい』


『あ~、そりゃそうだよな……カメラなんて案外あっさり見つけられるかも』

しかし……カメラ以外に何か打てる策はあるだろうか……。


『だからと言ってもやはり、ゲーム内容が分からない限り、対策は施しにくい。一番の勝負所はゲーム開始一時間前。

 お互い、平等に振り与えられた時間だと俺は考えている』


圭たちはゲーム内容が、そして敵にはゲーム会場が知らされる。敵はこの一時間の間に会場に仕掛けられたもの、すなわちカメラなどを探すだろうすだろう。


 逆に言えば、圭たちはこの一時間でゲームの対策を考えることになる。


『見つかりにくいカメラの設置はまた考えるとして、問題はゲームの開始時間だな』

 そうメッセージを送信してさらに思考を重ねる。


『選択肢として挙げられるのは、平日の昼休みか放課後……か土曜日。日曜は部活もないから校舎内にいる生徒は限られる。その日を選択すれば正体がばれかねないので却下だな』


『……となればまず、第一に考えられるのが、昼休みか放課後が始まった後すぐの時間か。これだとゲーム開始一時間前は授業中か間の十分間休憩程度に知らされることになる。


 よって、授業に出れば必然的に敵は教室の捜索ができなくなる』


 そう森が考えるのも納得だ。だが、それは自分たちの首も絞めることになりかねない。


『でもよ。奴らはそれを分かったうえで、一時間を選択してきたと考えるのが自然だろ? おそらく、授業をサボって捜索するぐらいの、くだらない覚悟はあるんじゃねえか?』


 次郎の指摘もまた、的を射ているように聞こえる。だが、それはいいだろう。


『それは、問題ない。いや、むしろいい。俺たちはゲーム内容さえ知れば、授業中でも対策は考えられるからな。


 ただ、問題なのは、対策の準備、仕掛けを作る時間が無くなるということだ。どういうゲームになるか分からないからこそ、その時間は必要だと思う。


 それを踏まえて考えれば、昼休みか放課後の開始三十分後、ということになるかな』


『もう一つの選択肢は土曜日だよね。確かに平日と比べれば、時間は優に存在するし……。ゆったりと対策を練ることができるとは思うけど……』


『でも、それって敵も同じだろ?』


『ああ……そうなるな。となると、授業という制限をかけられる前者を時間に設定するのがベストとなるかな。


 もし、対策が早めに決まれば、わざと早い時間に教室に入ることで、その捜索をじゃますることだってできるかもしれない』


 うまくいけば、三十分相手に無駄な時間を過ごさせることも可能だろう。


『でもさ……相手がイカサマをするつもりがなかったら? 相手がイカサマを妨害する契約を結んで来たら、こっちは手も足も出ないことになるぞ?』


『……そうなった場合は……対等の勝負だとして挑むしかないな』


 正直、それは懸念することだが、そうなればそれこそどうしようもない。なら、考えるべきはできる範囲でどう対策を施すかだ。


 そう意気込み、手元にある小型カメラに視線を向けた。試しに購入した小型カメラ。ペン型にカモフラージュされたこのカメラは少々値段こそ張るが、カメラと気づきにくい代物だ。


やはり、空き教室以外は場所に選べない。普通の教室はまだ生徒が残っている可能性があるし、特別教室は鍵が閉められるか、部活で使われる。


 しかし、机といす、黒板、教卓と言った基本オブジェクトしかない空き教室は……監視カメラを隠すスペースが少ない。


 やはり、こういうかモフラージュされた隠しカメラを数打って時間内にすべての監視カメラを探し出せないようにするのが、ゴリ押しながら最善策か……。

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