22時間目。体育祭の競技決め
さて、今日は体育祭の競技決めだ
ウチは理事長の趣味もあり、祭りごとに関しては何か全力なんだよなー
まぁ、生徒たちが一番楽しそうだから良しである。教師としては生徒が楽しければそれが一番だ
「じゃあ出席も確認したし、みんなの待ちに待った競技決めするぞー」
「「「よっしゃー!!」」」
生徒たちの歓声
遅刻魔の立花弘ですら今日は普通に出席している
普通の日もこのくらい頑張れよ!
「んで、」
ざっと、生徒たちを眺める
目をキラキラさせている麻倉舞と目が合う。まぁ任せた方が良いよな
本当は俺がばしっと決めるのもいいのだが、そこは生徒たちの自主性に任せるとしよう
「麻倉舞、悪いが指揮取ってくれ」
「はいはーい!!!任せてー!!」
麻倉舞は元気よく立ち上がる
クラスの中心の一人である麻倉舞の指名は周りの生徒たちも歓迎している
教卓の位置で座ってた俺は邪魔だろうし、窓際にでも立ってるか
「あっ!わたるせんせはそのままでいいよー!!ちょっと椅子引いておいてー!!」
椅子を引けって書記にでも使う気か?まぁそれくらいは全然問題ない。むしろ大歓迎である
「よいしょっとー!!あーあーあー、うん!ではーこれより競技決めを行う!」
「おい」
おい、麻倉舞よ
椅子を引けといったのはこういうことか
俺のものまねっぽいクソほど似てないやつは許してやろう
だがな、俺の膝に座るのまでは許した覚えはないぞ?おいこら?麻倉舞お前最近距離近過ぎないか?
えへへーと笑っているんじゃありません
「じゃあまず、えーと、徒競走100mと2㎞の二つから決めよー!えーと、100mは5人で、2㎞のは3人だね!」
いや、普通に降りろよ進めるなよ
頭掴んで揺さぶるぞ
「わたるせんせ今回って景品でるのー?」
振り向く麻倉舞
いや、だから近いから
当然ながら景品は出るが…
「景品はあるぞいつも通り、最後のページに書いてある。あと降りろ」
ウチの学校は理事長の古里さんが全てである
古里さんの意向により、3つの景品が存在している
紅白の勝利景品(勝った色全員がゲットできる景品)
学年のポイント景品(一番ポイントを獲得した学年がゲットできる景品)
クラスのポイント景品(一番ポイントを獲得したクラスがゲットできる景品)
つまり勝利して、かつ、一番学年がポイントを獲得し、かつ、一番クラスがポイントを獲得すれば合計3つの景品を獲得できる
大体いつも通りであれば、景品は紅白<学年<クラスと人数が少なくなるほど豪華になる
昨年は紅白が饅頭、学年が饂飩、クラスがA5ステーキだ
クラスの景品半端なくね?ってか全部理事長の財布から出てるし
今年の景品は…あー、今日チェック中に麻倉舞が職員室来たから確認できてないな
ってか降りろよ
「最後?えーっとねー、紅白がー煎餅!学年がー蕎麦!!クラスが-!??」
え!?え!!?っとこっちを見てくる麻倉舞
俺も見てないから知らないからな
「そうなの!?っ!!!!!!!!!あっ、えっとークラスの景品は温泉旅行(1泊2日)(公休扱)(移動費込)(担当付)!!!!!」
ん?何か今すげえ違和感があったけど…?ってか麻倉舞めっちゃ目見開いてるけど
「「「「「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」」
「「「「「やったぁああああああああ!!!」」」」」
うるせえ!!!ってか他のクラスからも聞こえてくるぞこの歓声!!!?
ってか古里さんやりすぎだろ!!!温泉旅行!!!?俺も行きたいわ!!!!めっちゃ行きたいわ!!!!
「よ…よーし!!!じゃあ本気で勝ちにいくよー!!ゆっちー書記おねがーい!わたるせんせは窓際でも立っててー!!!!!!!!!!!!」
「わかった!」
麻倉舞が立ち上がって俺を窓際へと押しやる
お前が俺の膝に座ったんだからな?俺の扱い酷くね?
「とりあえず徒競走から決めてこう!!えっとー立候補!!!挙手!!!」
どんどんと意見が出てきて決まる競技参加者
運動部だけで固めれば強いが、個人で2回だけ単独競技に参加しなきゃいけないのでそこまで戦力の開きは発生しない
麻倉舞が良い感じにまとめてくれるので楽だ、あとやっぱり北野裕子は字が上手い
後でまとめなきゃいかんので、窓際に立ちながらノートPCに各競技ごとの参加者を入力しているのだが立ちながらってキツイわ
「先生あれだったら私の机使いますかぁ?」
「ん?いいのか?助かる」
大崎麻美…俺がお前がダメな子だったと思ってたけど、そうか…こないだの説教で心を入れ替えたんだな!俺はすごく嬉しいぞ!
落としたらやばいのでありがたーく使わせてもらうことにする
机の上にPCを置いて入力を続けるが、黒板が背中側なので少し面倒だ
「机持ってっていいですよぉそれともぉ私の膝に座ります?」
はぁ、アホなことを言うんじゃありません
「助かるよちょっと机借りるな」
流石にがっつり移動させるのは抵抗あるので、机を斜めにして大崎麻美の隣に膝をついて入力を続ける
見やすいし、なんとかなるか。膝着くの疲れるけど、あー立花弘の眼が凄い気になるので、本当にどうしよう
流石に生徒に近付き過ぎたか?いや、いつもこんぐらいの立ち位置だしな
少し離れた方がいいか?でも、流石にPC落とすのはキツイ、状況的に経費で落ちないからな
困ったので、ちょっとだけ俺からすると良心の女神である北野裕子をちらりと見てみると目が合った
「膝立ちも疲れると思うので、原田先生私の机座ってて大丈夫ですよ。そこでPC使っていてください」
にこやかな笑顔頂きました。流石でございます。女神様
北野裕子の席は黒板が充分見える位置にあるため、非常に助かる
「あぁ、助かる。そうするよ。膝立ちは少し疲れる」
一旦PCを畳んで立ち上がる
「えぇ、そしたら私半分ずれますよぉ?」
俺が立ち上がるのを見て直ぐに大崎麻美が半分椅子をずれる
いや、そこに座れるわけないだろうにアホか…
ふと、ふいに大崎麻美の左手にあるものが見えた。輪ゴムである。しかも手は超痛い至近距離パッチンの準備ができている。昔流行ったなぁ
でもそれ普通に痛いやつだからな
「輪ゴムを準備してるんじゃありません」
軽く頭にチョップ
「あー、ばれましたぁ?」
そんなチョップを出した大崎麻美は舌をちょびっと出していた
反省していねぇ…
「わたる先生私の席でもいいよ!!私膝の上に乗るけどね!土足で」
「うるせぇ!髪の毛560本毟るぞ」
「私に対しての圧強くない!!!!!?」
LHR開始から30分後
大人しく北野裕子の席に座らせてもらいPCで議事を作っていた
「これで全部かなー!?」
ふむ、しかしアホにしか見えない麻倉舞はやはりクラスの中心的人物なのだろうという感想が浮かぶ
こいつ、正直政治家とか向いてるんじゃないか?それか営業とか
まとめ力が半端ない程高い。全て円滑に進めてみせた。クラス内のことをよく知っているのか、顔色?とか表情?とかを見ているのか麻倉舞が選出する競技と生徒たちの意見がピタリと一致する
ずっと卓上に立っていないで少し動いたり、回ったりして色々と動くのは気になるが、生徒たちの第一希望とは合わなくても第二第三を優先的に選出しながら、不満もなく恐らく体育の成績から見ても一番強い組み合わせになっていると思われる。
「うん、これで全部だと思うよ。流石舞ちゃん」
北野裕子のダブルチェックをOKとしているので、完璧だろう
俺も一応、名簿見ながらトリプルチェックをしたが問題は無さそうだ
「よっし!!じゃあ皆!煎餅が食いたいかぁああああ!!」
『おぉぉぉぉう!!!』
若い
「蕎麦が食いたいかぁぁぁぁああああああ!!!!!」
『おおおぉぉぉぉう!!!!!』
これが若さか
「温泉旅行(1泊2日)(公休扱)(移動費込)(担当付)に行きたいかぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
『おっしゃあああああああ!!!』
『いきたぁい!!!!!』
そこバラバラなのかい!?
っていうか、さり気無く担当付きって書いてあるけど、俺優勝したら行けるの?二日休んで大丈夫なの?授業持ってるよ?
「あっれー?わたるせんせも温泉旅行行きたいかぁあああああああああ!!?」
「俺休めるなら行きたいぞー!」
「そんなわたるせんせのためにも勝つぞーーーーーーーー!!」
『いぇえええええええええい!!!』
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