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三栗隆文様へ。
前略。隆文さんにそんなに心配してもらえるなんて、ああ、わたし、とっても幸せです。
それと、もう雪屍が街の中にうずくまる季節になりましたね。あんなに白く柔らかかった積雪が、固く透き通りところどころ土汚れも負っているのが、なんとも言えず傷ましい気持ちになりました。以前は解けてまた凍った雪の慣れの果てをみても、すぐに視線から外してしまったのに、未言を知ると本当に色んなものに注目できるようになりますね。
その未言巫女は、寒空の下なのに、扇情的な黒の下着姿で、わたしも見ててどきどきしちゃいました。
あ、隆文さんは、雪屍の姿見てどきどきしちゃ、めっ、ですよっ。だめったら、だめです!
雪屍は、死の気配も纏っている未言巫女みたいなので、魅了されるとそのまま凍死しちゃいそうです。とりあえず、この子は封印しておきました。こんな見た目が危うい子は隆文さんには見せられませんからね。仕方ないですね。
だんだん春も近いですね。雪がなくなったら、また隆文さんと山登りして、たくさんの未言を見つけたいです。
かしこ
丹藤妙乃
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