丹堂妙乃様へ。

 前略。それでは、月溶湯のお店には、次の木曜日に行くのはどうでしょうか。

 月の環を見つけられたのですね。あの未言も、知っていても見つけられる人と見つけられない人がいるので、丹堂さんはとても幸運な方ですね。

 未言屋店主は、目が悪く、眼鏡がないと日常生活もまともに送れなかったそうです。視力ではなく、物事を見出す感性がとても鋭かったのでしょう。

 月の環は、店主の思い入れが強い未言だったそうです。なんでも、エンゲージリングは月の環がいいと常々言っていたとか。なんというか、ロマンチストな人ですね。

 それはともかく、丹堂さんが未言に触れて幸せを感じてくださっているなら、こんなに嬉しいことはありません。これからもお互いに素敵な未言ライフを過ごしていきたいですね。草々。

 三栗隆文

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