根拠

 村の娘は言った。


「言い伝えによれば、光の精霊様に選ばれた勇者様が、いつか必ずこの村を訪れてくださるのです……。我々は、その言い伝えを信じて待っているのです……! ねえ、旅のお方! 勇者様のことを何かご存知ありませんか!?」


 旅人は答えた。


「あのですね……。だから、何度も申し上げておりますように、そのー、私が、その光の精霊に選ばれた勇者なんですよ」


「……我々は待っているのです! 何か勇者様についてご存知ありませんか!?」


「だから、私です!」


「そんなはずはありません! だってあなたは……」


 娘はきっぱりと言った。


「なんか思ってた感じと違う!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る