一秒

「僕の能力は時間を操る力。なんと一秒の時間を、最長で十年にまで感じることができるのさ」


「感じることができるだけ?」


「ああ」


「なによそれ。あなたが早く動けるわけでもないんでしょ? それじゃあ、あんまり意味がないじゃない?」


「そうかもしれないね。はは……」


 きみと、そんな会話をしたのはどれくらい前のことだったか。今はもう思いだせない。結構、昔だったような気もするし、最近だったかもしれないね。


 とにかく今僕は、きみの頭に向かって飛んでいく銃弾をいつまでもいつまでも眺めている。

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