朝に夢見し

夢を見た。

かつての先輩。

仕事を教えてもらった。

面影がよく似ていた。

顔の輪郭、真っ直ぐな目。

ほほ笑みを浮かべたときの和らいだ表情。

思わず声をかけた。

でも、違った。

慌てて謝り、丁寧に説明した。

その人は小さく笑い、許してくれた。

あまりに自然に声をかけてきたので、本当に似ていたのですねと言われた。

よくよく見れば違うと、今ならわかる。

でも一瞬見かけたあの面影は、紛れもなく知っている人だった。

そこで目が覚めてしまった。


君に似し姿を街で見るときの心躍りを哀れと思へ


石川啄木の詩が浮かぶ。

街ではなく夢で見たのだけれど。

懐かしくも寂しい。

今はどこでなにをされているのか。

うかがい知ることもできない。

いまもどこかで誰かにあの笑顔を振りまいているだろう。

それだけは想像できた。


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